[特別対談]
諦めてはいけない!
再建中の企業を支援する現場の最前線 東信商事

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村松 資金繰りの不安を抱えながら、再建中で誰からも相手にされない孤独感は経営者を追い詰めます。東信商事さんのように話を聞いてくれるところは経営者にとって一縷の光になる。現場の最前線で中小企業を支えるノンバンクさんの短期的・応急的利用を私は大いに勧めています。

東信商事株式会社
代表取締役社長
土屋 顕太郎
東信商事は1913年(大正2年)に東信銀行として創業、32年(昭和7年)に商業手形割引に特化した専門ノンバンクに移行した。企業が売上代金として受け取った手形を事前に現金化する手形割引は、緊急つなぎ資金調達の重要な手段のひとつである。現在同社には年間500社を超える中小企業や個人事業者から手形割引の依頼があり、民事再生法申請中の再建企業が持つ手形へも対応できる。今後、190兆円もあるという売掛金がでんさい(電子手形)へシフトすることで、でんさい割引による資金調達の場面で同社はさらに大きな役割を担うことになる

土屋 当社では2013年3月に民事再生法(会社更生法含む)申請企業向け手形割引取り扱い企業数が100社を超えました。手形割引を融資のひとつとみなす銀行と違い、私どもでは手形を持ち込んだ企業(手形受取人)ではなく、手形を発行した企業(手形振出人)の信用を審査対象にします。そのためリスケ申請中の企業様にも対応できるのです。そこで今、銀行では審査に時間がかかる場合などに一時的にその企業様の受取手形割引を私どもにお任せいただき、1社でも多くの資金調達ニーズに対応できないかと考えております。すでにこの取り組みについて前向きにご検討くださる金融機関も出てきました。また昨年2月にでんさい(電子手形)が開始され、私どもがお役に立てる場がますます増えるものと期待しております。

村松 東信商事さんには私の関わる会社の手形割引を引き受けてもらったことがありましたが、資金化のスピードが速く助かりました。

土屋 スピードこそが私どもの最大の利点です。申込日当日に審査を終え、1時間でも、1分でも早く結論をお伝えし、遅くとも2営業日以内に資金をお渡しするよう社内体制を整えています。

村松 迅速な資金化は非常に重要です。今を生きなければ明日はありません。何十年もかけて築き上げた会社でも、たった1日の支払いの遅れで信用不安を引き起こし、会社が潰れてしまうことがあるからです。

「蘇生力」がある中小企業は
必ず息を吹き返す

土屋 先生のあきらめない姿勢に中小企業の経営者の方は勇気づけられることと思います。

村松 私自身がおカネを貸すことはできませんが、まずは話を聞くことで安心してもらいたいとの思いで相談に対応しています。経営者は心も体も折れそうになりながら、ぎりぎりのところで頑張っています。私も娘の死を通じて地獄を見てきましたから、若い頃にわからなかった経営者の気持ちに共感できるようになりました。私のところに来る9割の会社は、いわば心肺停止状態です。しかし、中小企業にはもともと身軽さゆえの「蘇生力」があるのです。ですから差し伸べられる救いの手があり問題点を除去できれば、再び歩き始められます。実際、多くの中小企業が息を吹き返しました。だから決してあきらめないで前を向いていこうというのが私の信条です。

土屋 私自身、企業の役に立ちたいと銀行に7年間勤め、今は東信商事の社長として手形割引を通じ、事業者の方々の急場の資金需要にお応えする役割を担わせてもらえることにやりがいを感じています。このたび村松先生のお考えに触れることで、あらためて初心に帰ることができました。本日はお話いただき本当にありがとうございました。

※2013年2月に新たな決済手段をでんさい(電子手形)として扱う
 「でんさいネット」の稼働が全国銀行協会運営の電子債権記録機関によって開始された。