テクノロジーが革新する流通の将来 物流改革フォーラム

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事例講演2
野村不動産が考える顧客の「+α」ニーズを汲み取る
"カテゴリーマルチ型"施設の展開について

野村不動産
都市開発事業本部
物流事業部長
鈴木 宏昌氏

野村不動産は2006年以降、物流センター「Landport」シリーズを開発し、用地取得から運営までを行ってきた。現在は24棟、31万坪のセンターを運営し、100%の稼働率を実現している。

同社の鈴木宏昌氏は、物流施設にはマルチテナント型とBTS(ビルド・トゥ・スーツ)型があるとし、それぞれ特徴があるが、現状ではマルチテナント型が多いと指摘。同社が提案する新しい物流施設「カテゴリーマルチ型」に触れた。

「カテゴリーマルチ型とは、マルチテナント型の汎用性を持ちながら、利用する顧客の業種(カテゴリー)を物件やフロアごとに特定することで、オペレーション効率を最大化するものです」

つまり、カテゴリーマルチ型は第3の選択肢として、汎用性を超えた物流オペレーションの最適化と、物流自動化への対応という2つの価値を提供すると強調した。鈴木氏は、すでに千葉県などで稼働しているカテゴリーマルチ型施設の実績を説明。首都圏を中心にした今後の開発予定物件を紹介し、空間提供の領域を超えた付加価値創出の拠点として今後も顧客の満足度を最大限に高める物流施設を提供していくと述べた。

基調講演2
サプライチェーン・リデザインの勧め

野村総合研究所
システムコンサルティング事業本部
戦略IT研究室
中川 宏之氏

野村総合研究所の中川宏之氏は、サプライチェーンを根底から変える、というのが今日の話のテーマだと前置きして、日本のサプライチェーンが2000年ごろからは第1の波、2010年ごろから第2の波、2017年ごろから第3の波になっていると指摘。サプライチェーンは「即納のための実行系」「準備のための計画系」「俯瞰のための設計系」という3層の業務で構成されるものであり、現在は設計系の段階に入っているとした。

設計系では多様なデータを集めて数理的なモデルを構築することが必要になると説明。欧米ではすでに数多くの有力企業が設計系に取り組み、拠点や機能の配置について最適解を求めることができている。しかし、日本はまだ設計系が認知され始めた段階であり、欧米にはだいぶ後れを取っているという見方を示した。

そのうえで、モデリングテクノロジーを駆使した設計系は、拠点の統廃合、在庫配置、能力の増強などの課題を解決でき、サプライチェーン全体のリデザインが実現できると強調。リデザインを進めるうえでは、会計、生産、戦略、物流、ITの知識・知恵を融合することや、データサイエンティストの助言を仰ぐこと、推進組織の準備をすることなどが重要になり、最終ゴールはプル型のサプライチェーンの実現だと語った。

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