
共催:野村総合研究所、東洋経済新報社
協賛:野村不動産
開会挨拶
執行役員
都市開発事業本部 物流事業部担当
山田 譲二氏
冒頭、挨拶に立った野村不動産の山田譲二氏は、「物流改革フォーラムを5年前から行っており、その都度、物流に関する課題を取り上げてきました」とコメント。同社が「Landport」という名称の物流施設を開発していることを紹介したうえで、物流施設の今後のあり方について、大規模化=集約化、機械化=省人化、高度の戦略化がキーワードであり、開発者としてもさまざまなソリューションを図っていくことを語った。
基調講演1
テクノロジーが変える流通の未来
「米国ではEC市場拡大の影響を受け、小売業界が大変なことになっている」と指摘するのは野村総合研究所の城田真琴氏。そうした中でも、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)という新しいビジネスモデルで成功する企業が出てきていることを具体的な例を挙げて説明した。
デジタル基盤イノベーション本部 デジタル基盤開発部
グループマネージャー
城田 真琴氏
D2Cビジネスの拡大、ショールーム型店舗の増加、ECへの誘導を促進するアプリの登場などがこれからのトレンドだとした。
それに並行してテクノロジーはさらに進化する。例えば、EC業界の大手企業は倉庫ロボットなどのテクノロジーに積極的に投資しており、自動倉庫化のトレンドも、AGV(無人搬送車)から、より柔軟性の高いAMR(自律移動ロボット)へ移行する潮流がある。
拡大するEC需要に対応したロボットの検討、需要の急激な変化への対応、買い切りだけではなくリースやRaaS(Robot as a Service)モデルの検討も必要になってくる。一方、ドローンや荷物配達ロボットなどは法規制の影響を受けること、などに留意すべきだと注意を喚起した。
事例講演1
需要変化にスケーラブルに対応できる、通販・EC業向けソリューション
トヨタL&Fカンパニー 物流エンジニアリング部
エンジニアリング室長
熊倉 孝氏
豊田自動織機の熊倉孝氏は通販・EC業界の動向とマテハン(マテリアルハンドリング)機器の変遷について語った。「通販・EC市場は今後も伸びていくと予測される一方で、現場では今後ますます作業者が不足していきます。数十年後にはこれまで経験したことのない人口減少時代に入ります」と指摘。
物流センターではどのようなマテハン機器を導入するかが非常に重要になると述べ、次世代マテハン機器のキーコンセプトとして拡張性や柔軟性を挙げた。「モジュール化されていて増やすことも減らすことも容易にできることが求められます」と語ったうえでスケーラブルに対応できるソリューションとしてデバンニングロボットなどをはじめとする最新機器を動画も使って紹介。日本の物流はまだ進化できると強調した。
最後に同社が昨年、カスタマーズセンター大阪を開設したことに触れ、1階はロボティクスによるフルオートメーションソリューション、2階は人と機械の調和によるセミオートメーションソリューション、3階はソリューション体感フロアであることを紹介。ぜひ見に来てほしいと呼びかけた。
事例講演2
野村不動産が考える顧客の「+α」ニーズを汲み取る
"カテゴリーマルチ型"施設の展開について
都市開発事業本部
物流事業部長
鈴木 宏昌氏
野村不動産は2006年以降、物流センター「Landport」シリーズを開発し、用地取得から運営までを行ってきた。現在は24棟、31万坪のセンターを運営し、100%の稼働率を実現している。
同社の鈴木宏昌氏は、物流施設にはマルチテナント型とBTS(ビルド・トゥ・スーツ)型があるとし、それぞれ特徴があるが、現状ではマルチテナント型が多いと指摘。同社が提案する新しい物流施設「カテゴリーマルチ型」に触れた。
「カテゴリーマルチ型とは、マルチテナント型の汎用性を持ちながら、利用する顧客の業種(カテゴリー)を物件やフロアごとに特定することで、オペレーション効率を最大化するものです」
つまり、カテゴリーマルチ型は第3の選択肢として、汎用性を超えた物流オペレーションの最適化と、物流自動化への対応という2つの価値を提供すると強調した。鈴木氏は、すでに千葉県などで稼働しているカテゴリーマルチ型施設の実績を説明。首都圏を中心にした今後の開発予定物件を紹介し、空間提供の領域を超えた付加価値創出の拠点として今後も顧客の満足度を最大限に高める物流施設を提供していくと述べた。
基調講演2
サプライチェーン・リデザインの勧め
システムコンサルティング事業本部
戦略IT研究室
中川 宏之氏
野村総合研究所の中川宏之氏は、サプライチェーンを根底から変える、というのが今日の話のテーマだと前置きして、日本のサプライチェーンが2000年ごろからは第1の波、2010年ごろから第2の波、2017年ごろから第3の波になっていると指摘。サプライチェーンは「即納のための実行系」「準備のための計画系」「俯瞰のための設計系」という3層の業務で構成されるものであり、現在は設計系の段階に入っているとした。
設計系では多様なデータを集めて数理的なモデルを構築することが必要になると説明。欧米ではすでに数多くの有力企業が設計系に取り組み、拠点や機能の配置について最適解を求めることができている。しかし、日本はまだ設計系が認知され始めた段階であり、欧米にはだいぶ後れを取っているという見方を示した。
そのうえで、モデリングテクノロジーを駆使した設計系は、拠点の統廃合、在庫配置、能力の増強などの課題を解決でき、サプライチェーン全体のリデザインが実現できると強調。リデザインを進めるうえでは、会計、生産、戦略、物流、ITの知識・知恵を融合することや、データサイエンティストの助言を仰ぐこと、推進組織の準備をすることなどが重要になり、最終ゴールはプル型のサプライチェーンの実現だと語った。