テクノロジーが革新する流通の将来 物流改革フォーラム

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進化するテクノロジーは、流通企業のあり方を変えると同時に、消費者の行動も変えている。サービスレベルをどこまで上げ、消費者にどのような価値を提供するのか、そのために適切な物流施設は……。2019年2月27日に開催した物流改革フォーラムでは、流通企業が直面する課題に対し、多様な角度から専門家が講演を行った。
共催:野村総合研究所、東洋経済新報社
協賛:野村不動産

開会挨拶

野村不動産
執行役員
都市開発事業本部 物流事業部担当
山田 譲二氏

冒頭、挨拶に立った野村不動産の山田譲二氏は、「物流改革フォーラムを5年前から行っており、その都度、物流に関する課題を取り上げてきました」とコメント。同社が「Landport」という名称の物流施設を開発していることを紹介したうえで、物流施設の今後のあり方について、大規模化=集約化、機械化=省人化、高度の戦略化がキーワードであり、開発者としてもさまざまなソリューションを図っていくことを語った。

基調講演1
テクノロジーが変える流通の未来

「米国ではEC市場拡大の影響を受け、小売業界が大変なことになっている」と指摘するのは野村総合研究所の城田真琴氏。そうした中でも、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)という新しいビジネスモデルで成功する企業が出てきていることを具体的な例を挙げて説明した。

野村総合研究所
デジタル基盤イノベーション本部 デジタル基盤開発部
グループマネージャー
城田 真琴氏

D2Cビジネスの拡大、ショールーム型店舗の増加、ECへの誘導を促進するアプリの登場などがこれからのトレンドだとした。

それに並行してテクノロジーはさらに進化する。例えば、EC業界の大手企業は倉庫ロボットなどのテクノロジーに積極的に投資しており、自動倉庫化のトレンドも、AGV(無人搬送車)から、より柔軟性の高いAMR(自律移動ロボット)へ移行する潮流がある。

拡大するEC需要に対応したロボットの検討、需要の急激な変化への対応、買い切りだけではなくリースやRaaS(Robot as a Service)モデルの検討も必要になってくる。一方、ドローンや荷物配達ロボットなどは法規制の影響を受けること、などに留意すべきだと注意を喚起した。

事例講演1
需要変化にスケーラブルに対応できる、通販・EC業向けソリューション

豊田自動織機
トヨタL&Fカンパニー 物流エンジニアリング部
エンジニアリング室長
熊倉 孝氏

豊田自動織機の熊倉孝氏は通販・EC業界の動向とマテハン(マテリアルハンドリング)機器の変遷について語った。「通販・EC市場は今後も伸びていくと予測される一方で、現場では今後ますます作業者が不足していきます。数十年後にはこれまで経験したことのない人口減少時代に入ります」と指摘。

物流センターではどのようなマテハン機器を導入するかが非常に重要になると述べ、次世代マテハン機器のキーコンセプトとして拡張性や柔軟性を挙げた。「モジュール化されていて増やすことも減らすことも容易にできることが求められます」と語ったうえでスケーラブルに対応できるソリューションとしてデバンニングロボットなどをはじめとする最新機器を動画も使って紹介。日本の物流はまだ進化できると強調した。

最後に同社が昨年、カスタマーズセンター大阪を開設したことに触れ、1階はロボティクスによるフルオートメーションソリューション、2階は人と機械の調和によるセミオートメーションソリューション、3階はソリューション体感フロアであることを紹介。ぜひ見に来てほしいと呼びかけた。

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