AIへの「漠然とした期待」を具現化するコツ

オンプレミス=レガシー、の偏見こそ危険

AI、機械学習、IoT……。近年はさまざまな最新技術が出現し、一部はビジネスにも活用され、成果も出始めている。その一方、まだ導入に至っていない企業のIT・システム担当者にはどのような考え方が必要なのか。30年間にわたり大企業の経営戦略コンサルティングを手がける百年コンサルティングの鈴木貴博氏と、日本IBMでメインフレーム上のデータ活用を専門とする石井学氏に聞いた。

企業が持つ、AIへの「漠然とした期待」

鈴木 最近のIT活用の潮流を眺めると、これからはAIがビジネスの武器になるらしい、5Gが始まるとIoTが具体化するらしい、という認識をもっている企業が多いですね。同時にそれらはいつ頃からどのように本格化していくのか、という時期についても関心が高まっています。

石井 お客様に基幹系システム更改の相談をいただく時には、「AIを活用できるようなシステムにしたい」という要望が必ず盛り込まれています。企業がAIを積極的に取り込んでいこうとしているのは間違いありませんね。特に大手金融機関ではニーズが旺盛ですが、逆にどう手をつけてよいのか悩んでいる企業が多いとも感じます。

鈴木 貴博
経営戦略コンサルタント、百年コンサルティング代表取締役。1962年生まれ、愛知県名古屋市出身。86年に東京大学工学部物理工学科を卒業。ボストン・コンサルティング・グループに入社、数々の戦略立案プロジェクトに従事。2003年に独立し百年コンサルティングを創業。専門は大企業の競争戦略。2013年出版『戦略思考トレーニングシリーズ』が累計20万部を超えるベストセラーに。他に『「AI失業」前夜――これから5年、職場で起きること』、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』など、著書は20冊以上。雑誌・Web等に寄稿・連載多数。

鈴木 経営側には「AIを使えばいろいろなことがやれそうだ」という漠然とした期待感があるものの、社内ルール上の制約や技術的、予算的ギャップがあるようです。環境が整っていない状況で現場へ指示を出しても「この環境では難しい」と言われてしまう。例えばデータサイエンティストを雇う企業は増えていますが、実際にはあまりちゃんと稼働できていないという課題が生まれがち。そんな話をよく聞きます。

石井 当社調査によれば、企業にとって重要な情報の約80%は社内の基幹システムに存在しています。特に金融機関、医療機関などでは高度な個人情報を大量に持っていますが、一般にそれらの管理は厳重です。仮の障害を発生させるなどのシステムテストを行う時ですら、上部の承認を得ないと、データをそのままテスト環境へ取り出すこともできません。そのように厳重に管理されている基幹データを扱う時には、「この目的でこんなメリットを生み出すべくデータを取り出し、分析したい」と明確な要件をそろえる必要があるのです。

石井 学
日本IBM入社以来、Db2 for z/OSを始めとしたメインフレーム上のデータ関連製品を一貫して担当。流通・金融のお客様をはじめとするさまざまなお客様のプロジェクトに参画し、近年は提案や導入段階での支援を中心に活動。現在はメインフレーム上のデータ活用を専門とし、日本で初採用となったメインフレーム上での機械学習ソリューションの提案活動に従事。

鈴木 企業にとっては、試行錯誤をしにくい状況ですね。実際に機械学習を試す場合でも、最初からデータが完成しているケースはなかなかありません。システムからデータを抜き出すにしても手間がかかり、依頼から入手までにタイムラグが発生することが多いです。

石井 そうしたニーズにも応えて、当社ではメインフレームの最新版「IBM Z」を開発しました。当社が1964年4月に初めて汎用メインフレーム「IBM System/360」を世に送り出してから55周年。改良を重ねて出来上がった「IBM Z」では最新機能を駆使して、メインフレーム内に蓄積されたデータをリスクを冒さずに取り出し、機械学習や高度な分析を行えます。

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