一体どうなる?日本「農業」の実態と未来 全国634のJAが集結、自己改革への決意

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次に2015年10月に開催された前大会(第27回大会)の決議成果の報告がJA全中常務理事・山田秀顕氏より行われた。

実を結びつつある、JAの自己改革

前回は3つの目標を据えた中でも、農業者の所得増大に直結する農畜産物等の「販売品取扱高の拡大」をグループの共通目標と設定、その実現のためにグループ全体で「創造的自己改革」に挑戦することが決議された。結果、16年度の「販売品取扱高」は、14年度比較で108.4%、約4兆6900億円に到達。JAグループが目指してきた自己改革が、着実に実りつつあるといえよう。

前回大会では、9つの重点分野を設定。全国のJAで創意工夫ある取り組みがなされ自己改革が実践されているものの、道半ばの取り組みもあり、終わることなく取り組んでいくとされた。山田氏は「われわれは組合員の願いを実現するため、引き続き消費者のニーズ、実需者の声に対して、対応力を高めていく必要があります。食生活の変化に向き合わなければなりません」との認識を示した。

今回の全国大会ではわかりやすさを考慮し、映像の活用など工夫がこらされた

加えて、日本チェーンストア協会専務理事・井上淳氏、一般社団法人日本惣菜協会専務理事・藤木吉紀氏、一般財団法人食品産業センター理事長・村上秀德氏、株式会社セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員・石橋誠一郎氏、株式会社なだ万調理長・石塚隆也氏など「食」や「農」に携わる関係者から、JAグループへの期待を含め、熱いメッセージが送られた。この取り組みも今回の全国大会が初であり、全国各地のJAとの繋がりがより発展するよう期待される。

その後、今大会(第28回大会)の大会議案の提案と採択が行われた。

青年部・女性部・JA代表の意見表明

そして、大会運営委員長のJA全中副会長・須藤正敏氏より、今大会議案「創造的自己改革の実践」の審議過程が報告された後、議長にJA島根中央会会長・竹下正幸氏が選任された。続いて、JA全中専務理事・比嘉政浩氏より今次全国大会議案が提起され、組合員・JA代表者から議案に対する意見が表明された。

北海道農協青年部協議会会長
今野邦仁氏

北海道農協青年部協議会会長・今野邦仁氏は、「JA青年組織においては、今後の地域・JAを担うわれわれ若手農業者が長期的な展望を持って営農を継続していくことができるようにするために『農業者の所得増大』と『農業生産の拡大』が極めて重要であるとの意見が多く上がっています。農業生産の中核を担う者として、JAとともに農業・地域社会を支え創り上げていくという自負と責務を持ち、全国6万人の青年部の仲間とともに自己改革のさらなる実践にともに邁進していきたい」と力強く語った。

また女性部代表として、JAみやぎ女性組織協議会会長・佐々木美和子氏が「JAがこれまでもこれからも地域において欠かせない存在であるために、地域を元気にしていく『地域の活性化』の取り組みが不可欠です。また、農業者の半数が女性農業者であることを真正面から受け止めて、協同組合として組合員の『声』に基づく運営を徹底するためにも、もっと女性が自然に参画している姿を一緒に実現していきましょう」と意見を述べた。

JAみやぎ女性組織協議会会長
佐々木美和子氏

さらにJA代表として、JAにしみの代表理事組合長・小林徹氏はこう語った。

「農協運動・自己改革は組合員の声を聞いて、耕すことから始まると考えています。膝を交えた座談会を開催し、農協の事業の進捗を知ってもらう、組合員の声を聞くなど双方の対話ができる機会を作ることが重要です。また、担い手への支援活動はもとより、時代に合わせたスマート農業についてもしっかりと取り組んでまいります。今後は自己改革についても組合員、地域の声をしっかりと聞き、“耕す”運動を進めていかなければなりません」

最後に竹下議長より議案の賛否が図られ、無事満場の賛成を得て議案が採択された。そしてJA全中副会長・金原壽秀氏が「本日が、今後3カ年にわたる決議実践のスタートとなります。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化への取り組みのさらなる強化と深化に向けて、JAグループ各組織が創造的自己改革の実践に取り組むことを決意します」と力強く締めくくった。

日本の農業発展のため、JAグループは一丸となって「創造的自己改革」を実践、そして農業の新時代を築いていく方針だ。これからも日本の誇りであり続ける農業。IT導入が進む中、その動向に注目していきたい。

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