一体どうなる?日本「農業」の実態と未来

全国634のJAが集結、自己改革への決意

全国大会会場の様子。体験型の展示も多数設置された
JA全国大会。全国に634(2019年1月現在)あるJAが共通の意思を決定・表明することを目的とし、3年に1度開催されるものだ。第28回となる今回は2019年3月に、全国各地からJA幹部ら約1600人が参加した。いま日本の農業が抱えている課題とは何か。そしてJAグループは、それをどう乗り越えていくのだろうか。

日本の農業はこれからどうなるのか?

JA全国大会では、以後3年間でJAグループがどのような方向を目指すのか、抱える課題に対してどんな計画・目標を据えるのか、徹底的に議論される。中でも今年は、14年6月にスタートした「農協改革集中推進期間」(5年間)の最終年。「創造的自己改革の実践」をテーマに据え、前回大会で決議した「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」という3大目標に向けたさらなる挑戦が重点課題とされた。

会場では、大勢の参加者全員にわかりやすく内容を伝えられるよう資料と映像を併用。外のフロアでも、パネルに加えて映像や実物展示、実体験ブースなどが置かれた。展示ブースは大きく3つのテーマ(「農業(成果)」「農業(実践)」「地域」)に分かれ、全25ブース。

「農業(成果)」では需要の高まる加工・業務用野菜の製品化に向けた一次加工対応の紹介やハウスでの安価な栽培システムの実物展示、「農業(実践)」では農作業の負担軽減のために開発されたアシストスーツの実体験コーナーや、作業効率化のための農業用ドローンの紹介、そして「地域」では都心でも手ぶらで気軽に参加できる体験型農園の紹介や、JA女性組織が自主運営している食堂兼農産物加工施設などを紹介。複眼的な視点から具体的な事例が取り上げられた。

JA全中会長
中家徹氏

加えて今回の大会の大きな特徴は、従来と異なり、昨年秋以降都道府県大会を開催したのちに全国大会を実施したことだ。その狙いについて、全国大会の冒頭、JA全中会長・中家徹氏があいさつの中でこう語った。

「消費者・実需者のニーズの多様化やデジタル化の波が農業の姿を変えつつある今、多様化する現場が直面する経営課題や地域の実態などを踏まえ、創意工夫ある具体策を実践することが極めて重要です。地域やJAの現場における実践を最優先に置くため、都道府県大会を全国大会に先行して開催しました。今後、食料安全保障やスマート農業の推進を図る上でも、組合員の声を起点として農業、地域、組織の課題と向き合うことが必要です」

若者が夢と希望を持てるような農業に

続いて、内閣総理大臣・安倍晋三氏からあいさつがあった。

内閣総理大臣
安倍晋三氏

「私の故郷は農業が盛んな町でした。美しい棚田を長年支えるのは容易ではありませんが、生産者や地域の皆さんのたゆまぬ努力で、地域や環境、日本の伝統文化を守ってきました。まさに農は国の基(もとい)です。今年度の生産農業所得は9000億円も拡大しました。これまでの間、JAグループが農家組合員と徹底的に話し合い、柔軟な発想で自己改革を進めてきた成果が表れ始めた結果です。若者が自らの未来を託すことのできる、農林水産新時代を共に築いていきましょう」

また、農林水産大臣・吉川貴盛氏※(農林水産大臣政務官・高野光二郎氏代読)から「全国各地のJAでは、自己改革のチャレンジを実践しています。その流れがさらに加速することに期待し、農業者の所得向上に全力投球できるJAの実現に向けてサポートしていきます」とのメッセージ、国際協同組合同盟(ICA)会長・アリエル・グアルコ氏より「農業協同組合が世界中の農業分野において手本となり活力を与えるような実例になることを期待しています。地域社会の問題を解決するため、結束を高め、多元的な協同組合運動を引き続き築いてください」との激励が送られた。
※苗字の『吉』は、正式には上が『士』でなく『土』。

日本協同組合連携機構代表理事副会長
本田英一氏

関係団体からは、日本協同組合連携機構代表理事副会長、日本生活協同組合連合会代表理事会長・本田英一氏が「農業や地域の担い手不足、貧困や格差の拡大といった状況の中で、持続可能な地域社会づくりに向け、参加と協同を社会に広げていくことこそが協同組合に求められる役割です。JAグループには引き続き協同組合連携の核になって日本の協同組合運動をリードいただくようにお願いします」と訴えたほか、全国農業会議所会長・二田孝治氏が「創造的な自己改革を進めるには現場の力が何より大事。未来の農業は皆さんの双肩にかかっています」とあいさつをした。

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