平成最後に選ばれた、優秀な投資信託とは? 今年で20回目を迎えたファンドオブザイヤー
「モーニングスターのファンド分類」は、国内の株式だけでも大型、中型、小型、さらに、運用スタイルもグロース、バリューなど79ものカテゴリーに分類されているので、同じカテゴリーのファンドが明確に比較できるようになっている。そのカテゴリー分類にしても、同社独自の判断基準に基づいていることに注目したい。例えば、ファンドの目論見書に「日本株」と示されていても、実際に債券の比率が高いファンドはバランスファンドに分類することもあるという。まさに、第三者の立場で投資家の判断に役立つ公正な情報を提供しているわけだ。
20年間の真摯な取り組みで信頼されるブランドへ
ファンド市場の黎明期に始まった「ファンド オブ ザ イヤー」も今年で20回目を迎えた。
この間には、リーマンショック、インターネットバブルの崩壊、東日本大震災などの危機もあった。
「リーマンショックのときには、ほとんどの資産クラスのファンドがマイナスパフォーマンスとなり、『賞を選ぶ意味があるのか』と言われたこともありました。しかし、厳しい環境下でも頑張っているファンドやファンドマネジャーを表彰することで、市場の活性化や投資家の資産形成の支援につながると考えて継続してきました」と力強く語る朝倉氏。
「ファンド オブ ザ イヤー」の分析方法が1年間の運用実績などの定量評価だけでなく、運用方針、運用プロセス、運用・調査体制や継続性、リスク管理体制、ディスクロージャーの状況など定性評価も考慮されているのもそのためだという。
「個人投資家の中には、『ファンド オブ ザ イヤー』の受賞をきっかけに、そのファンドを知ったという人も少なくありません。『受賞した商品なら買おう』と考える人にきちんと責任を果たさなければなりません」
過去の例では実際に、受賞ファンドに資金流入が拡大するケースがほとんどだ。個人投資家や販売会社の評価の高さもうかがえる。
「2018年の市場環境を振り返ると、好調だった前半に比べ後半は非常に厳しい年でした。この中でもプラスリターンを出すファンドもあるなど、まさにファンドマネジャーの力量を発揮した優れたファンド28本を選びました」と続けた。
今や「ファンド オブ ザ イヤー」はファンド市場のグローバルスタンダードに育ってきたと言ってもいいだろう。証券会社や銀行の営業担当者の中にも、投資家向けの商品アドバイスに同社のレーティングや「ファンド オブ ザ イヤー」の受賞などを重視する人が増えている。
「20年間続けてきたことがブランド構築につながったと感じています。その信頼に応え、これからも『ファンド オブ ザ イヤー』を継続していきたいと考えています」と朝倉氏は力を込める。
「投資家主権の確立」を目指す同社の取り組みは続いていく。