平成最後に選ばれた、優秀な投資信託とは? 今年で20回目を迎えたファンドオブザイヤー

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モーニングスター 代表取締役社長 朝倉 智也 Tomoya ASAKURA
1966年生まれ。慶應義塾大学卒業後、銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事。95年、米イリノイ大学経営学修士号を取得(MBA)し、同年ソフトバンク入社。98年、モーニングスター設立に参画し、2004年より現職
著書 『怖がりの人ほど成功する! 丸投げ投資生活』(ナツメ社) 『ものすごく真っ当で、ありえないほど簡単な お金の増やし方』(幻冬舎) 『「つみたてNISA」はこの7本を買いなさい』(ダイヤモンド社) 『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書) 『ものぐさ投資術』(PHPビジネス新書) 『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』(朝日新聞出版)など
フェイスブック https://www.facebook.com/tomoyaasakura
「投資信託の評価機関」であるモーニングスターは2019年2月1日、「ファンド オブ ザ イヤー 2018」を発表した。1999年に始まり、毎年行われ今年20回目を迎えた同賞は、優れた運用実績とマネジメントを持つファンドを選考するものだ。今年は国内の追加型株式投資信託約5300本を対象に優れた運用実績とマネジメントを持つファンドを選考するものだ。今回は、6部門で最優秀ファンド賞6ファンド、優秀ファンド賞22ファンド、合計28ファンドが選ばれた。この会社が投資信託市場の黎明期から投資家の立場で情報提供や啓蒙活動を行ってきた意義は大きい。

銀行窓販解禁の年にスタート。投資家が自ら情報を取得

1998年は投資信託(ファンド)市場にとって大きなトピックとなった年である。

「その年の12月にファンドの銀行窓口販売(窓販)が解禁になりました。当社は、その9カ月前の同年3月にジョイントベンチャーとして誕生しました。翌年の99年には第1回の『ファンド オブ ザ イヤー』を発表しました」とモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏は振り返る。まだ当時は一般の個人投資家に、ファンドはもとより資産形成という概念さえ浸透していなかった。銀行窓販が解禁されても、富裕層の顧客が現物取引の株式売買などでなじみのある証券会社で購入するケースがほとんどだったのだ。

また、今では、個人投資家もインターネットでさまざまな情報を入手できるようになっているが、当時は金融機関と個人投資家の情報格差は圧倒的で、個人投資家がいい情報やいいファンドを見極めることは容易ではなかった。このため、販売会社の営業担当者にとって売りやすい商品や販売手数料が高い商品を勧められるままに購入してしまうといったことが頻発し、問題も生じていた。

「今でこそ、金融庁もフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)を金融機関に求めるようになってきましたが、創業当初から、私たちは『投資家主権の確立』を企業理念に、個人投資家が自ら情報を集め、自ら選択できるような環境が不可欠だと考え、その実現に向けた取り組みを進めてきました」

まさに時代の先を行く取り組みを率先して進めてきたのである。

ファンドの第三者評価機関として公正な情報を提供

銀行窓販解禁から20年を経て、ファンド市場は着実に成長してきた。「大きなきっかけとなったのが資産クラス(資産の種類・分類)の広がりです。ファンドの特長はさまざまな資産に分散投資ができることですが、20年前には投資対象は日本株ばかりでした。その後、資産クラスが海外の先進国や新興国の株式、債券、コモディティー(商品)、REITなどに広がり、さらに複数のファンドを組み合わせて運用するファンド・オブ・ファンズの設計なども可能になり、複数の国や地域、資産をまたいで分散投資できるように進化してきました」と朝倉氏は語る。

市場が広がる一方で、個人投資家にとっては新たな悩みも生まれてきた。現在、国内で販売されているファンドは約5300本にも上る。個人投資家が自身にとって最適な1本を選ぶのは容易ではない。

「当社は、『ファンドの第三者評価機関』として、公正な情報を提供しています。前述したようなさまざまな資産クラスごとに、ファンドをホテルやレストランの格付けのように、星の数で示しているのも大きな特長です」

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ファンド オブ ザ イヤー 2018