現場の声に寄り添う「HRテクノロジー」 「人事×テック」でエンゲージメント最大化

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働き方改革の本質とは何なのか。そして、そのような改革はどうすれば実現可能なのか。リクルートグループの先進的な事例を基に、答えをひもといていく連載(全3回)の第2回となる今回は、限られた人的リソースの中で、最大の成果を挙げるために「人事」と「テクノロジー」がコラボレーションしたリクルートジョブズの取り組みについて。人事担当者とエンジニアの出会いから始まったプロジェクトは、今やグループ内に横展開されるまでに。成功の要因を探った。

近年、有効求人倍率は上昇傾向にあり、企業による採用活動はますます活発化している。こうした中、人材採用の総合サービスを提供するリクルートジョブズにとって、営業組織の戦力化はつねに重要な課題である。マネジャーが抱えるメンバーは1人当たり30人以上になることもあり、それだけの人数の組織に対するエンゲージメントを高め、迅速に個人のパフォーマンスを最大化するかが喫緊の課題だった。

興梠 智紀氏
リクルート
人事統括室人事戦略部

テクノロジーで現場のマネジメントを支援してほしい……。リクルート人事統括室人事戦略部のエンジニア、興梠智紀氏に新たなミッションが与えられたのはそのようなさなかの2016年。興梠氏はその半年前に同社に就職し、グループの人事戦略をR&Dに近い立場で支援する同部に配属されたばかり。早速現場にヒアリングしたところ、ある事実に気づいた。

「話を聞く前は、マネジメント手法の違いが、メンバーのエンゲージメントが高い組織のマネジャーとそうではないマネジャーの差になっているだろうと考えていました。ところがヒアリングしてみると、どちらもやっていることは同じで、違ったのは、マネジャーのメンバーに対する認識でした。メンバーのエンゲージメントが高い組織のマネジャーほど、メンバーのコンディションについての認識が、本人と一致していたのです」(興梠氏)

新システムの運用で表れた効果とは?

新入社員のコンディションを可視化するツールを作れば、マネジャーの負荷を増やさずに、より適切なマネジメントができる。そう考えた興梠氏に援軍が現れた。リクルートジョブズ人事部採用グループの西川央明氏だ。

西川氏は、当時の現場の様子を次のように述懐する。

西川 央明氏
リクルートジョブズ
人事部採用グループ

「リクルートには"よもやま"と呼ばれる1対1のミーティング文化があり、マネジャーは、そこでメンバーの悩みを聞いてアドバイスをしています。ただ、よもやまは月1回だけの場合もあります。新入社員は慣れない職場で戸惑うことが多く、月1回程度では対応が後手に回ることもありました。コンディションが可視化されれば、タイミングを逃さずフォローができます。興梠さんの話を聞いて、ぜひうちでツールを試してほしいと思いました」

意気投合した2人はプロジェクトを立ち上げ、メンバーのコンディションを可視化するシステムの開発に着手。プロトタイプは約2カ月で完成し、福岡の拠点でテスト運用していくつかの修正を加えた後、2018年4月から本格的な運用をスタートさせた。

システムの概要はこうだ。

メンバーに自分のコンディションについてのサーベイを行うとともに、BIツールを使って回答の時系列データを集計し可視化。マネジャーはそれを確認し、コンディションに関する認識を一致させたうえで、誰にどのようなサポートをすべきか判断する。

また、対応の効果の確認や、個々人に応じたマネジメントの蓄積、マネジャー間でのマネジメント情報の共有など、データに基づいたPDCAを実行することができるという。

さらに、回答はビジネスチャットツールと連携させてリアルタイムで届くため、緊急性が高ければマネジャーが即時対応することも可能だ。

運用を始めると、早速効果が見え始めた。

ある新人営業担当者はサーベイに人間関係の悩みを告白。それを読んだマネジャーがランチ会を開いたところ、次のサーベイには「距離が縮まって仕事がやりやすくなった」と書かれていたという。

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