東京で展開中!アートが日常にある街づくり

アーツカウンシル東京が担う文化政策とは?

六本木アートナイト2018(©六本木アートナイト実行委員会)
2020年、再びオリンピック・パラリンピックが東京にやってくる。世界の目が注がれるスポーツイベントは、その国、その都市の文化への考え方が問われる場でもある。来年を目前に控え、首都東京の文化政策の担い手である「アーツカウンシル東京」の活動を追う。

アーツカウンシルという組織をご存じだろうか。英国を発祥とし、欧米諸国やシンガポールなど世界各地で設置されており、芸術文化に対する助成を基軸に、文化政策の執行を担う専門機関だ。「アーツカウンシル東京」は2012年に設立された日本国内初の組織であり、アートの意義を多くの人に伝え、芸術文化都市たる”東京”の魅力を提案している。

美術館・コンサートホールに行くことはもちろん、もっと日常の中に芸術文化があってほしいという思いのもと、さまざまな活動を続けているアーツカウンシル東京の三好勝則機構長が説明してくれた。

公益財団法人東京都歴史文化財団
アーツカウンシル東京 機構長
三好 勝則

「われわれは東京都歴史文化財団の一員として文化政策を手がける部隊です。1つの使命は実際に活動するアーティスト、NPOや活動に参加したい人たちに、活躍してもらうためのお手伝いです。また、東京に暮らす人たち、それは住民に限らず、訪れるすべての人たちが『豊かな心』を持ち、自由に芸術文化活動ができる街づくりの支援を行っています。『豊かさ』とは、『そもそも人間とは?』につながっていく根源的な問いです。知らないモノを見て、これは何だろうと疑問を持ち、知らない土地に行って新たなモノやコトを体験したい気持ちは、人間の欲望であり本能です。そうしたことを実現できることが豊かさだと思っています。アーティストは、自分の思い・考えを作品にします。それを見る人は『この人は何を考えたのだろう?何を表現したのだろう?』と考えます。人間が何かを感じること、よりよく生きたいと考えるという活動そのものが芸術文化です」

国際都市東京における新しいダイバーシティ

国際化が進む東京には、多文化共生という意識も欠かせないものになってきている。

「さまざまな国から来た人が住んでいる地域で、それぞれの伝統芸能を持ち寄って、お互いに披露し合う。似ているところと、ここは違うなという部分もあるでしょう。それを知ることでお互いの位置関係がわかってくる。それが多文化共生という文脈の中で芸術文化を扱う意味だと思います。」

アーツカウンシル東京は現在、多くの取り組みを行っている。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に伴い、多数の文化プログラムを展開する。あまり知られていないが、オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典でもある。オリンピック憲章には、「OCOG(オリンピック競技大会組織委員会)は少なくともオリンピック開村から閉村までの期間、文化イベントのプログラムを催すものとする」※と示されており、近年のオリンピック大会の開催地では、文化プログラムを積極的に行う傾向にある。アーツカウンシル東京では、海外からの応募を含めて2500件近くの提案があった「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募事業」、国内外で新たな出会いを生み出す「東京キャラバン」など、多種多様な文化プログラムを展開している。

※公益財団法人日本オリンピック委員会「オリンピック憲章Olympic Charter 2015版・英文和訳(2017年8月2日から有効)」から抜粋

TURNフェス3(撮影:伊藤友二)

「『TURN』という活動を例にしましょう。障害の有無、世代、性、国籍、住環境といった属性や背景の違いを乗り越えて、多様な人々との出会いと表現を生み出すプロジェクトです。アートをつくることを目的にするのではなく、一人ひとりが”その人らしく”生きることを尊重し、日本における新しいダイバーシティの実践の場として国内外に発信しています。また、『東京芸術祭』は世界で生み出された舞台作品を東京で見られる機会を提供します。反対に東京で作ったものを世界に見てもらう活動も並行しています。昨年は、イタリアを代表する演出家のジョルジオ・バルベリオ・コルセッティがオーディションで選んだ出演者による野外の公園で行う公演もありました」

東京芸術祭「野外劇 三文オペラ」(撮影:松本和幸)
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