セブン銀行「ATM受取」が秘めた可能性

銀行口座不要で送金が可能に

今やコンビニだけでなく駅や商業施設でも頻繁に見かけるセブン銀行のATM。提携金融機関は、なんと約600社にも上る。
セブン銀行が昨年5月から始めたサービスに今、注目が集まっている。
銀行口座を介さずに、企業から個人に宛てた送金をセブン銀行のATMとセブン‐イレブンのレジで受け取ることができる「ATM受取」だ。従来の決済コストと比較すると費用が大幅に軽減され、全国約25000台のATMネットワークも活用できるということもあり、スタートアップ企業から大手企業まで、業種を問わず、今や契約企業数は124社に上っている。

従来の送金サービスの課題を解決

セブン・ペイメントサービス
代表取締役社長
和田 哲士

「『ATM受取』(現金受取サービス)の開始以来、多くの企業の皆様からお問い合わせをいただいています。その中には、私たちが当初想定していなかったような業種業態の企業様や利用用途もあり、驚いている状況です」と語るのは、セブン・ペイメントサービス代表取締役の和田哲士社長だ。

同社はセブン銀行の100%子会社で、2018年5月、セブン銀行、セブン‐イレブン・ジャパンとともにATMを通じた新しい決済サービスの提供を開始した。

サービス開始以来わずか4カ月余りで契約合意企業数が100社を突破するなど、多くの企業から引き合いがある。19年3月までに100社という当初目標を大幅に上回るペースだという。

「ATM受取」が利用者を広げる理由はどこにあるのか。大きな特長の1つは、企業がこのサービスを使うことにより、送金先の個人の口座番号を知らなくても送金できることだ。

サービスの仕組みはこうだ。企業が送金すると、受け取りに必要な複数の番号が振り出され、メールやSMS(ショートメッセージサービス)などで受取人に通知される。受取人はセブン‐イレブンの店内などにあるセブン銀行のATMで、これらの番号を入力すると紙幣を受け取ることができる。硬貨はセブン‐イレブン店内のレジで受け取るほか、電子マネー「nanaco」へのチャージや募金を選択することもできる。

通販サイトなどの企業が成長し、さまざまな新しい商品やサービスが提供されるようになっている一方で、返品に伴う返金業務には依然として大きな業務負担とコストがかかっている。というのも、既存の送金サービスである口座振込や郵便為替、現金書留などは、送金、受け取りともに手間と時間がかかり、人の手が必要だからだ。受取時間が制限されているなど、個人にとって利便性が高いとは言えない。

セブン・ペイメントサービス営業部の河邉弦部長は「リスク上の観点から、銀行口座などの個人情報を管理・収集したくないという声も少なくありません。当社の『ATM受取』ならそのリスクを抑えることができます」と話す。

多様な働き方のニーズにも応える

セブン銀行の「ATM受取」は、契約企業だけでなく受取人にとってもメリットが大きい。

和田社長は「セブン銀行のATMは全国に約25000台設置され、原則24時間365日、送金も受け取りも行えます。返金業務などのほか、報酬の支払い・受け取りなども、いつでもどこでも、迅速に行えるようになります」と話す。充実したインフラがあるからこそ「ATM受取」の利便性が高まるというわけだ。

今後、働き方がより一層多様化することを考えれば、副業やフリーランスなどで働く人もますます増えてくるだろう。

「報酬を早く受け取ることができるのは、働く人にとっても魅力です。人手不足が深刻化している中、迅速に報酬を送金できることが、『選ばれる会社』になる要素ということも考えられます」(和田社長)

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