ブランドコンテンツとは
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ブランドコンテンツとは

ブランドコンテンツは、企業や団体のブランディングをサポートする東洋経済オンラインの企画広告です。

既存の経済メディアの限界やオンラインメディアの面白さについて語り合った前編を受けて、後編ではさらにこれからの経済メディアのあり方について話が弾んだ。どのような経済メディアが誕生すれば面白いのか、既存の経済メディアはどのように進化すればよいのか。メディアを知り尽くした2人の話は、尽きるところを知らない。

対談の前編はコチラ


堀江貴文
1972年福岡県生まれ。株式会社ライブドア元代表取締役社長CEO、SNS株式会社オーナー兼従業員、株式会社7gogoファウンダー。

30年後には誰も
紙のメディアを読まなくなる

堀江 僕はアグリゲーション(集約化)の重要性を感じていますが、もう一つ今の経済メディアに足りないのは、サブスクリプション(定期的な販売方式)です。現在のサブスクリプションのやり方はすごく遅れています。例えば、日経新聞はフェイスブックでログインができない。なぜソーシャルと連携しないのでしょうか?

夏野 既存メディアができないのなら、新しいメディアにはすごくチャンスがあるじゃない。ここに文化庁のデータがあるんだけど、ウェブニュースを読む人の割合は、20代が72.8%、30代は66.5%、それに対して60代以上は14.1%しかない。だから、あと30年もすれば、紙の新聞は誰も読まなくなるんじゃないですか。

堀江 わからないですよ。

夏野 海外を見てみると、アメリカの新聞社の広告収入は過去5年で半減(米国新聞協会調べ)している。半減というのは、非常にまずい。

堀江 日本は半減しないような気がしますけどね。とくに経済メディアについては。

夏野 実は新聞社の収益構造を見ると、宅配を辞めれば、いくらでも収益は上がるんです。新聞社の中で、一番人数が多いのは、販売・営業部門。記者の人たちは意外とマイノリティーなんです。

堀江 ここまできてまだ新聞を拡販しようとしていますから、びっくりします。

夏野 ニューヨーク・タイムズは過去4年間で広告収入は半減。でも購読料収入は変わってない。新聞系ウェブサイトのビジター数でもニューヨーク・タイムズは世界第2位です。


B級的ニュースを扱う
経済メディアがあってもいい

堀江 前編でB級的なニュースメディア系も面白い、と言ったのは、「ナタリー」という音楽系ニュースメディアがあって、今独り勝ちなんです。記者が多く人件費負担が重いため、なかなか利益が出ない構造になっていますが、少なくとも広告収入で独り勝ちなのは間違いない。ナタリーの特徴はこれまで雑誌に載らなかった、B級的な記事をよく掲載しているんです。例えば、とあるミュージシャンがツイッターで暴言を吐いたとか。そういう記事を経済メディアでもやったらいいのにと思っています。

夏野 そうだね。そんなトリビアルな話って面白い。ナタリー型経済メディアね。

堀江 ナタリー型の経済メディアは存在してもいいと思っているんです。僕がライブドアニュースをやっていたときは、新聞社がなかなか記事を提供してくれないから、提供元を探すのに苦労しました。そんなとき独立系のニュースメディアが出てきた。やってみると、そちらのほうが面白かったんです。経済メディアも、未開拓ジャンル、つまり、B級的な要素をもった面白ニュースメディアを、つくったほうがいいと思いますね。

夏野 そういえば結構面白い話があるんです。ある大企業の社長が海外出張に行くという情報を新聞記者が執拗に探っていた時期があった。理由は提携先をつかむため。それで、その社長はわざわざシカゴに飛んで2回乗り換えてシリコンバレーに行ったんだけど、サンフランシスコの空港で結局見つかってしまったそうです(笑)。

誰と誰が会っているというのは、くだらない話だけど、面白いんですよね。新聞でも首相動静を一生懸命読んでいる人は山ほどいる。どこで誰と会っているのかという情報は、その事実だけでいろんなことを想起できますから。


夏野剛
1965年神奈川県生まれ。エヌ・ティ・ティ・ドコモ執行役員などを歴任。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授、株式会社ドワンゴ取締役、World Wide Web Consortium顧問会議委員。

新聞の一覧性の強みは
ネットでは通用しない

堀江 ライブドアニュースをベースにしたものが今のLINEニュースですが、カテゴリーを見ると、エンタメ、おもしろ・ネタ、ファッション、カルチャー、おでかけ、グルメ、恋愛・エッセイ、アニメ・ゲーム、ネット・IT、ビジネス・コラム、スポーツです。

僕はこうした既存メディアと異なったカテゴリーの捉え方に、これからのメディアの方向性が象徴されていると思っています。オンラインのほとんどの人たちは、だんだん既存のニュースメディアに対して関心を寄せなくなりつつある。経済メディアもおそらくそうなりますね。

夏野 経済メディアこそ、一般の人は関心が薄いし、専門性が高いから、新聞のように一覧性である意味がない。

堀江 しかも2~3年で担当業界を交代する記者よりも、ネットではその業界を長年ウォッチしてきた人の話のほうが求められている。そういう人を集めたメディアをつくるべきだと僕は思っています。

夏野 そんなメディアが登場して、うまくエコシステムが回るようになるといいね。

例えば、ニコニコ動画でやっている「ブロマガ」というのは、あまり経済ニュースと関係ないんだけど、個人の発信者とインタラクティブに繋がる仕組みになっている。そんな仕組みを経済メディアも取り入れていくといいかもしれない。

堀江 僕の「ブロマガ」はどんどん人数が増えています。「堀江なう!」という自分専用アプリまでつくっちゃいましたから。


日本の経済メディアも
グローバルに展開すべき

夏野 だから、やるべきことはたくさんある。今がチャンスだよね。みんなが気づいたらチャンスはなくなる。

堀江 むしろ、通信、ITは世界展開できると思うんです。ソフトバンクなんて、買収した米携帯会社スプリントの業績を相当改善できるという自信を持っていますから。

夏野 孫さんは大企業とのケンカの仕方もよくわかっていらっしゃる。だから、孫さんはアメリカで勝つと思いますよ。先日お会いした時に、すでにアメリカだけじゃなくて、もっとデカイことを考えていらっしゃるようでした。普通はアメリカがうまくいってから考えるのに、やる前から考えている。さすがですね。

堀江 その意味で、日本の経済メディアも、もっとグローバルに展開すべきでしょう。例えば、通信・IT業界では世界の企業動向を完全に把握していないと自社の将来ビジョンを描けない時代に来ています。ワールドワイドで業界動向を正確に分析して考えなければ生き残れないんです。そんな時代がもう始まっているのに、ドメスティックな日本だけを考えている経済ニュースメディアは、これから衰退していくと思うんですよ。なんで“日本”経済新聞なんだと。

夏野 まあ、言語だよね。

堀江 でも、例えば、グーグルクロームの翻訳機能はすごい。これはグーグルが検索技術で培った失敗のデータベースをもとに翻訳機能を進化させたからです。実は翻訳と音声認識の技術は、ここ10年で驚くほど進化しているんです。翻訳されたものを見ていると、なんとなくわかるレベルになってきた。グーグルの一番の成果だと思いますね。


1億人の40%を狙うのか
70億人の5%をターゲットにするのか

夏野 これからの経済メディアは、確かにグローバルな視点を持たないといけないけれど、世界の拠点を増やせば必ずしもグローバルな視点を持てるわけではない。署名記事と同じ話だけれど、グローバルな視点を持ったキュレータをいかに集めるか。それとインセンティブモデルだよね。英語で検索すると、日本語の10倍の情報量が出てくる。それを処理してキュレーションしないといけない。それに対してインセンティブをどう回すかというのが重要になるんだろうなあ。

堀江 最近、「クーリエ・ジャポン」という雑誌の部数が伸びているんです。紙の雑誌の中で、結構ファンが多い。クーリエ・ジャポンがやっていることは結構近いでしょ。

夏野 海外のローカルなニュースも山ほど集まっているよね。ただ、グローバル化と言えば、アメリカは一番グローバルな国だと言われているけれど、国民の3分の2はパスポートを持ってないし、3分の1は州の外にも出たことがない。

だから、問題は誰をターゲットにするのか、だと思う。オンラインメディアは、いわゆる上位3分の1しかターゲットにしないという立ち位置でいくのか、あるいは、もうちょっと拡げるのか。日本では5%くらいしかグローバルなことに興味ある人がいなくて、95%はグローバルなんてどうでもいいから、国内の話をしてくれという人たちでしょ。どちらの立ち位置を選べばいいと思う?

堀江 僕はグローバルに行くべきだと思います。なぜならグローバルのほうが、母数が大きいから。例えば、70億人の5%を取りにいったほうが、1億人の40%を取りにいくよりも、ずっといい。収入もそちらのほうが大きくなると思います。

夏野 ポテンシャルはそうだよね。ただし、問題はエコシステムをどうつくるか。もし、ビジネスモデルを間違えたら、始めた瞬間に破綻しちゃう。


ライブ体験が
おカネを払うインセンティブを生む

堀江 僕が考えているのは、サブスクリプションモデルです。ただ、優良コンテンツのサブスクリプションモデルに関して言うと、これからもっとライブ体験を付加価値として入れない限り、デジタルコンテンツ自体の収入は限りなくゼロに近づいていくと思います。

例えば、ニコニコ動画のブロマガはライブイベントをやっているわけですが、うまくできていると思ったのは、ライブ体験に対しておカネを払うインセンティブがきちんとできていることです。

これと同じことを今すぐテレビがやるべきでしょうね。もし今テレビがやったら、それだけで月々500円払ってくれるユーザーが1000万人くらい付くと思うんです。なぜやらないのか、不思議で仕方がない。

夏野 昔言っていたマルチメディア、組み合わせだよね。

堀江 それにみんながおカネを払うようになると思うんですけどね。そういうものがないとおカネを払ってくれないでしょう。

夏野 一般論として、経営者はそこそこ成功すると、さらにその上は目指さなくなる。今こそ、ニュース、コメント、メッセイジングのプラットフォームを全部統合し、ドリームチームのような経営陣を組んで「世界制覇だ!」と宣言するような企業や、経営者が出てきてほしい。たかだか1000億円、2000億円の時価総額ではなくて、グーグルのように20兆円を目指す。日本でまだトヨタを超えるネット企業が存在しないというのは、本当にもったいないと思うね。

(撮影:今井康一)

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