世界に誇れる日本の自動車リサイクル制度 優れた仕組みで循環型社会の実現に貢献

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海外からも注目される日本のリサイクル制度

─ 日本の自動車リサイクル制度の仕組みは、海外と比べてどのような点が違っているのですか。

中村 日本の自動車リサイクル制度には、随所、独特の思想と仕組みを織り込んでおり、グローバルでは、ジャパンモデルと呼ばれ、世界に誇れるものになっています。

自動車リサイクル制度は国や地域によって異なっています。たとえば欧州連合(EU)では、自動車メーカーが使用済自動車全体を引き取ります。ただし、リサイクルの推進というよりは、不法投棄の防止に主眼が置かれています。

─ 世界に誇れる日本の自動車リサイクル制度(ジャパンモデル)の運用における、自動車リサイクル促進センターの役割は。

中村 公益財団法人自動車リサイクル促進センター(JARC)は、循環型社会に向けた自動車リサイクルに関する様々な課題に対応するため00年11月に設立されました。

JARCでは、使用済自動車から回収されるシュレッダーダスト、フロン類、エアバッグ類のリサイクル・処理に関する一連の工程を電子情報で管理する仕組みを、世界に先駆けて導入しました。リサイクル料金の管理のほか、自治体への情報提供や離島対策支援などを通じて、自動車リサイクル制度の安定運用に努めています。

世界に誇れる日本の自動車リサイクルシステム(ジャパンモデル)

─ 国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の観点での企業評価などが注目されています。貴法人の今後の取り組みは。

中村 JARCは、自動車ユーザーからお預りした約9394億円(18年3月末時点)のリサイクル料金を安全かつ確実な方法で管理・運用を行っています。SDGsに関する持続可能な社会の実現に向け、18年度から、ESG投資のうち「E(環境)」に資するグリーンボンドおよび「S(社会)」に資するソーシャルボンドに投資を始めています。

EUを中心に、資源の有効活用を価値創造につなげる「サーキュラー・エコノミー(Circular Economy :循環型経済)」という考え方が広がりつつあります。自動運転車や電気自動車などが普及することで、自動車リサイクルのあり方も大きく変化するでしょうが、循環型社会の実現が、国や地域の違いにかかわらず重要であることに変わりはありません。

引き続き、日本の優れた自動車リサイクル制度の安定運用を支援するとともに、その取り組みを世界に向かって発信していくことも私たちの役割だと考えています。

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公益財団法人 自動車リサイクル促進センター