大和ハウス工業の「社員を満足させる」秘訣 創業から63年、改革し続ける企業の信念

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Interview
社員のモチベーションを高めれば会社は伸びる

社員の不満を一つずつ潰し満足に変えていく

河合 克友
代表取締役副社長 経営管理本部長
経営管理本部戦略部門担当 CSR副担当

――大和ハウスグループでは、人財育成や働く環境づくりでどんな点を重視していますか。

河合 「社員のモチベーションアップが会社を伸ばす」。この考えをベースに、さまざまな施策や制度づくりを行っています。その嚆矢(こうし)となったのは2005年に創業50周年を迎えるにあたり、全社員を対象に行った全100問のアンケート調査です。この結果に基づき、16もの新たな制度を策定、一挙に実現させました。

アンケートを行うということは、結果に対して会社側が何かしら対応をしなければならない。反応がなければ、時間をかけて回答した社員は皆しらけてしまうでしょう。ある意味、リスクを負った取り組みでした。これにより、「会社は本気で社員のことを考えている」という雰囲気が生まれた。以後4年ごとにアンケートを実施し、人事施策などに反映させています。

――現場の声に耳を傾け、モチベーション向上につなげると。

河合 モチベーションを高めるには社員が抱えている不満を一つひとつ潰し、満足に変えていけばよいと考えます。例えば、転勤。当社の総合職は基本的に全国転勤の可能性がありますが、最近は育児・介護のため生活拠点を変えたくない人も増えています。そこで地域限定社員制度を導入し、要望に応えました。

また少子化対策としては、社員に子どもが生まれた際、子どもが18歳になるまで支給していた手当に替えて一度に100万円支給する制度を策定し、大きな反響を呼びました。「一民間企業が少子化対策をやっても意味がない」といった声もありましたが、開始から13年間で、生まれた社員の子は約8600人。胸を張りたい気持ちです。

好奇心を持って挑戦する人が自分の幅を広げていく

――大和ハウスグループで活躍している社員はどんな人ですか。

河合 当社は「積極精神」や「現場主義」に代表される創業者精神を継承しており、これに共鳴する人が活躍しています。ただし、就職したばかりの人に創業者精神を理解せよと言ってもなかなか難しいのも事実。私自身、若い頃は「事業を通じて人を育てる」意味があまりよくわかりませんでしたから。でも5年、10年と仕事を続けていくうちに「お客様に信頼され、結果を出すには、こんな発想が大事なんだな」とわかってきます。

――では、どんな人財を求めていますか。

河合 強い好奇心のある人です。誰でも、自分の好きなことは積極的にやります。しかし、仕事は必ずしも自分の好きなこと・面白いと感じることばかりではありません。中にはやりたくない仕事もあるでしょうが、どんなものにも興味を抱き、挑戦してみるといろいろな発見があって意外と面白い。こうした姿勢が、自分を大きく成長させる機会になります。

一方で、当社が扱う住宅などは非常に高額なものですから、お客様から寄せられる意見や要望も多い。しかし逃げずにヒアリングをすることでお客様から信頼され、いつの間にか骨太な関係性を築けていたりするものです。その意味では、愚直で誠実な人が当社に向いていると感じます。小手先の技術なら後からいくらでも身に付けられますが、人間の根本的な性格を変えることはできませんから。