信州ビジネスフォーラムin東京 新たな地平を切り拓く長野県の魅力とは?
長野県立地企業プレゼンテーション
サントリー天然水
人間性の回復に貢献するブランド戦略
サントリー食品インターナショナルの沖中直人氏は、1923年の山崎蒸溜所(大阪府島本町)設立時から水と社会貢献にこだわってきたサントリーの理念に裏付けられた天然水事業の戦略と、長野県大町市に建設を決めた天然水のボトリング新工場(20年末完成予定)について語った。
同社はサントリーグループの飲料・食品部門の子会社。1991年に白州蒸溜所(山梨県北杜市)内に設けた工場で製造した「南アルプスの天然水」でミネラルウォーター事業に参入し、03年に九州熊本工場(熊本県嘉島町)、08年に奥大山ブナの森工場(鳥取県江府町)に拡大。清冽(せいれつ)な水を都会の人に届け、リフレッシュしてもらうことで「人間性の回復に貢献する」ブランドを前面に押し出して、17年の出荷数は1億800万ケースにまで成長してきた。
同社4カ所目の天然水工場として、新たに大町市に立地する工場は、北アルプスのふもとに位置。「水質・水量が充足され、環境保全も可能で、将来的にもその水質・水量ともに守り続けられる場所」という条件に合致する場所を選定するため、水脈をはじめ、あらゆる角度から調査を行い、60カ所超の候補地の中から絞り込んだ。サントリーは使用水量の2倍を目標にした水源涵養活動「天然水の森」プロジェクトや、累計15万人の子どもたちに水の大切さを伝える水育も展開。沖中氏は「天然水は山や森に降った雪や雨が、長い歳月をかけて地層で磨かれたもの。水源を厳選し、それを次世代に向けて育むことは非常に大切」と説明する。
天然水新工場(大町市)は、生産拠点だけでなく、「清冽な天然水」のブランドイメージを体験してもらうフィールドとしての役割も担う計画で、清冽な水に触れてもらう場や、地元食材にこだわった食堂なども整備する予定。「地域と共生し、地元を盛り上げる場にしていきたい」と意気込みを語った。
企業立地の相談、移住・観光PRコーナーも
会場入り口には、長野県や、県内の市や町のコーナーも設けられ、立地を検討している企業に対して、工業団地造成や、空き工場用地などの情報、行政支援策などを説明した。また、ICT分野などの起業家向けのスタートアップ支援策も紹介。長野県への移住を考えている人の相談、スキー場の魅力などスノーリゾートPRや、豊かな農産物・加工品を紹介。担当者に話を聞く参加者でにぎわった。