
主催:長野県 協力:東洋経済新報社
「信州」という選択
阿部 守一氏
長野県の阿部守一知事は「企業立地先、移住先として、選んでいただきたい」と述べ、長野県を選ぶ理由について語った。ベースにあるのは恵まれた立地環境だ。宇宙関係施設が集まる空気の清浄さ、そして水資源の豊かさなど、抜群の自然環境に恵まれている。一方で「山々に囲まれて不便なイメージがあるかもしれないが、そうではありません」と阿部知事は力を込める。今も北陸新幹線は東京~長野間を最速80分強で結ぶが、2027年に予定されるリニア中央新幹線が開通すれば、飯田から品川までの移動は45分程度、名古屋までは25分程度になる予定だ。北陸新幹線の大阪延伸ルートも決まり、三大都市圏への好アクセスは大きな魅力だ。高速道路も、三遠南信(飯田市~浜松市)、中部横断(小諸市~静岡市)、中部縦貫(松本市~福井市)各自動車道整備が進行中で、太平洋側、日本海側双方へのアクセス改善も期待される。これらの多重的で充実した高速交通網により、企業からは「バックアップ拠点」としても注目され始めている。また、人材面をみても、就業率は全国トップクラス。教育県としても知られ、2018年4月に開学した県立大学は、全員に海外プログラム履修の義務付けなどグローバル人材育成を後押しする。
「長野には都会にないすばらしさがある。働く人が生き生きと暮らせる県にしたい」と、県は生活環境面も充実させる。男女ともに全国トップクラスの平均寿命に加え、子ども向け施策も拡充。中学卒業まで県内すべての子どもを対象にした医療費助成、自然の中で生きる力を育む「信州やまほいく(信州型自然保育)」、小中学校全学年で30人規模学級などに取り組み、子育て世代の移住も増えている。
産業面は、すでに情報通信機器製造業(出荷額全国1位)、電子部品製造業(同2位)*が集積。これを基盤に県は、未来に向けた3つの産業を推進する。1つが航空機システムで、南信地域が航空機宇宙産業クラスター形成特区認定を受け、着氷や防爆試験機など国内唯一の機器を整備した。2つ目は、長寿を支える盛んな発酵食文化を背景にした食品。県は「しあわせ信州食品開発センター」を設けて、信州ブランドの健康食品開発を後押しする。そして、精密機械技術を生かした医療機器分野にも注力する。
本社機能(研究所・研修所を含む)移転には県税を最大で100%減税、新規立地には最大10億円の助成などの支援策を用意。ICT企業やサテライトオフィスの立地を促すため、コワーキングスペースやリゾートテレワーク拠点も整えた。本格進出・移転前に月に1~2度、長野に来てもらう「ときどきナガノ」、半年程度の試験的な移住をする「おためしナガノ」などのトライアルに対する助成プランも創設。阿部知事は「『確かな暮らしが営まれる美しい信州』を目指し、学びと自治の力で長野県の新時代を拓きたい。進出を全力でサポートします」と訴えた。
*H29年工業統計
長野県立地企業プレゼンテーション
サントリー天然水
人間性の回復に貢献するブランド戦略
ジャパン事業本部戦略企画本部長 兼
コミュニケーション本部長 兼
戦略企画本部イノベーション開発部長
沖中 直人氏
サントリー食品インターナショナルの沖中直人氏は、1923年の山崎蒸溜所(大阪府島本町)設立時から水と社会貢献にこだわってきたサントリーの理念に裏付けられた天然水事業の戦略と、長野県大町市に建設を決めた天然水のボトリング新工場(20年末完成予定)について語った。
同社はサントリーグループの飲料・食品部門の子会社。1991年に白州蒸溜所(山梨県北杜市)内に設けた工場で製造した「南アルプスの天然水」でミネラルウォーター事業に参入し、03年に九州熊本工場(熊本県嘉島町)、08年に奥大山ブナの森工場(鳥取県江府町)に拡大。清冽(せいれつ)な水を都会の人に届け、リフレッシュしてもらうことで「人間性の回復に貢献する」ブランドを前面に押し出して、17年の出荷数は1億800万ケースにまで成長してきた。
同社4カ所目の天然水工場として、新たに大町市に立地する工場は、北アルプスのふもとに位置。「水質・水量が充足され、環境保全も可能で、将来的にもその水質・水量ともに守り続けられる場所」という条件に合致する場所を選定するため、水脈をはじめ、あらゆる角度から調査を行い、60カ所超の候補地の中から絞り込んだ。サントリーは使用水量の2倍を目標にした水源涵養活動「天然水の森」プロジェクトや、累計15万人の子どもたちに水の大切さを伝える水育も展開。沖中氏は「天然水は山や森に降った雪や雨が、長い歳月をかけて地層で磨かれたもの。水源を厳選し、それを次世代に向けて育むことは非常に大切」と説明する。
天然水新工場(大町市)は、生産拠点だけでなく、「清冽な天然水」のブランドイメージを体験してもらうフィールドとしての役割も担う計画で、清冽な水に触れてもらう場や、地元食材にこだわった食堂なども整備する予定。「地域と共生し、地元を盛り上げる場にしていきたい」と意気込みを語った。
企業立地の相談、移住・観光PRコーナーも

会場入り口には、長野県や、県内の市や町のコーナーも設けられ、立地を検討している企業に対して、工業団地造成や、空き工場用地などの情報、行政支援策などを説明した。また、ICT分野などの起業家向けのスタートアップ支援策も紹介。長野県への移住を考えている人の相談、スキー場の魅力などスノーリゾートPRや、豊かな農産物・加工品を紹介。担当者に話を聞く参加者でにぎわった。