信州ビジネスフォーラムin東京 新たな地平を切り拓く長野県の魅力とは?

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明治期の製糸業に始まり、戦後は「東洋のスイス」と称されるように精密機械工業などが栄えてきた信州・長野県が今、新たな地平を切り拓こうとしている。昨年12月10日東京都港区で開催された「信州ビジネスフォーラム」(参加約150人)は“日本の屋根”日本アルプスを擁する豊かな環境の中で、航空宇宙産業をはじめとする新時代の産業に向けて動き出し、企業の立地、都会から移住する人々を引きつける長野県の魅力を伝えた。
主催:長野県 協力:東洋経済新報社

「信州」という選択

長野県知事
阿部 守一

長野県の阿部守一知事は「企業立地先、移住先として、選んでいただきたい」と述べ、長野県を選ぶ理由について語った。ベースにあるのは恵まれた立地環境だ。宇宙関係施設が集まる空気の清浄さ、そして水資源の豊かさなど、抜群の自然環境に恵まれている。一方で「山々に囲まれて不便なイメージがあるかもしれないが、そうではありません」と阿部知事は力を込める。今も北陸新幹線は東京~長野間を最速80分強で結ぶが、2027年に予定されるリニア中央新幹線が開通すれば、飯田から品川までの移動は45分程度、名古屋までは25分程度になる予定だ。北陸新幹線の大阪延伸ルートも決まり、三大都市圏への好アクセスは大きな魅力だ。高速道路も、三遠南信(飯田市~浜松市)、中部横断(小諸市~静岡市)、中部縦貫(松本市~福井市)各自動車道整備が進行中で、太平洋側、日本海側双方へのアクセス改善も期待される。これらの多重的で充実した高速交通網により、企業からは「バックアップ拠点」としても注目され始めている。また、人材面をみても、就業率は全国トップクラス。教育県としても知られ、2018年4月に開学した県立大学は、全員に海外プログラム履修の義務付けなどグローバル人材育成を後押しする。

「長野には都会にないすばらしさがある。働く人が生き生きと暮らせる県にしたい」と、県は生活環境面も充実させる。男女ともに全国トップクラスの平均寿命に加え、子ども向け施策も拡充。中学卒業まで県内すべての子どもを対象にした医療費助成、自然の中で生きる力を育む「信州やまほいく(信州型自然保育)」、小中学校全学年で30人規模学級などに取り組み、子育て世代の移住も増えている。

産業面は、すでに情報通信機器製造業(出荷額全国1位)、電子部品製造業(同2位)が集積。これを基盤に県は、未来に向けた3つの産業を推進する。1つが航空機システムで、南信地域が航空機宇宙産業クラスター形成特区認定を受け、着氷や防爆試験機など国内唯一の機器を整備した。2つ目は、長寿を支える盛んな発酵食文化を背景にした食品。県は「しあわせ信州食品開発センター」を設けて、信州ブランドの健康食品開発を後押しする。そして、精密機械技術を生かした医療機器分野にも注力する。

本社機能(研究所・研修所を含む)移転には県税を最大で100%減税、新規立地には最大10億円の助成などの支援策を用意。ICT企業やサテライトオフィスの立地を促すため、コワーキングスペースやリゾートテレワーク拠点も整えた。本格進出・移転前に月に1~2度、長野に来てもらう「ときどきナガノ」、半年程度の試験的な移住をする「おためしナガノ」などのトライアルに対する助成プランも創設。阿部知事は「『確かな暮らしが営まれる美しい信州』を目指し、学びと自治の力で長野県の新時代を拓きたい。進出を全力でサポートします」と訴えた。

*H29年工業統計

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