コカ・コーラ社「東京2020への協賛」真の狙い オリンピックを単なるお祭りで終わらせない
――オリンピックを楽しめる場として、カルガリー1988大会以来、大会を記念したさまざまな“ピン”を購入できる「コカ・コーラ ピントレーディングセンター」を開設してきました。
高橋 今回もやらせていただく予定です。いまやピントレーディングは、世界中の人々と出会い、オリンピックの感動を持ち帰る楽しいイベントになっています。1998年の長野冬季大会の時には45万人もの方々がセンターに詰めかけるなど、これまで大きな人気を呼んできたので、今回もそういった波が来るのでは、と期待しています。
まだ明かせないことが多いのですが、ほかにもコカ・コーラ社ならではの「おお!」というようなプログラムを考えているので、ぜひご期待いただきたいです。
――「東京2020パラリンピックゴールドパートナー」にもなっています。
高橋 すべての方々に当社の製品を楽しんでいただきたい、選手の方々にも当社の製品によってパフォーマンスを発揮していただきたい、というのがいちばんの理由です。オリンピックだから、パラリンピックだからというすみ分けはとくに考えておらず、両方合わせて約1カ月を通して行われる1つの大会として捉えています。
大会を通して、世界や未来を本当に変える
――こうした東京2020への大きな支援を通じて、どんなことを達成したいと考えていますか。
高橋 コカ・コーラ社がオリンピックを通じて最も大切にしているのが、「レガシー」を生み出すことです。レガシーとは、大会が終わるまでに何かを成し遂げるというものではなく、オリンピック後の10年先、20年先から振り返った時に「東京2020であれをやったから、今のこれがあるんだよね」といえるものを残すことです。つまりは世界や未来を変えるような技術、行動のことです。
例えばロンドン2012大会では、オリンピック史上最大のサステイナビリティー施策を展開するという目標に賛同し、大会前にはPETボトルをリサイクルする工場を建設しました。それとともに、PETボトルのリサイクルを促進するキャンペーンも大々的に展開し、イギリスの皆さんのリサイクル意識が大きく高まりました。
リオ2016大会の時は、それまでブラジルでは1リットル容器などの大型容器が主流だったのですが、オリンピックを機に小型容器の普及を図ったことで、それ以降、飲む人の嗜好に合わせて買いやすくなり、またムダも削減することができました。
――東京2020ではどんなレガシーを目指しているのでしょうか。
高橋 いくつかあるのですが、例えばサステイナビリティーの部分です。昨年、米・アトランタの本社から、2030年までに、販売した量と同等量のボトルと缶の100%相当分の回収・リサイクルを推進するというグローバル目標が発表されました。
東京2020ではそれに向け、当社が環境に配慮した企業であることを皆さんに理解していただきつつ、会場内での販売、ゴミの分別、回収に至るまで、リサイクルの方法を突き詰めていきます。公表はしていませんが、それぞれのレガシーには、「いつまでにこれを成し遂げる」というKPIも設定されているんです。
――数多くあるスポンサー企業の中でも、コカ・コーラ社の強みとは。
高橋 われわれはオリンピックが終わるごとに、今回はこれがうまくいった、これはうまくいかなかったというレビューを行い、それらすべてをデジタル化して蓄積しています。そうした90年分のノウハウが何よりの強みなのです。
手前みそにはなりますが、例えば当社のキャンペーンを通してオリンピック聖火リレーのランナーに選ばれて走ったら、大会とコカ・コーラ社のことが一生忘れられない記憶になると思います。そういった数々の“特別なひととき”をつくっていきたいと考えています。