イノベーションで「社会課題」の解決に挑む ESG・SDGsカンファレンス2018

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基調講演III(統合レポート)
情報開示の新たな役割
‐イノベーションへの予兆の意味共有化を求めて

青山学院大学大学院
国際マネジメント研究科 教授
北川 哲雄氏

青山学院大学の北川哲雄氏は、財務情報にESG情報を組み合わせて投資判断するESGインテグレーションや、ESGと事業戦略について投資先企業と対話するエンゲージメントなど、ESGに関与を強める海外機関投資家の動きに言及。中長期視点の経営をしたい企業にとって望ましい株主は、長期、ESG、パッシブの投資家や、PRI(国連の責任投資原則)、スチュワードシップコードに署名した投資家など、ESGに理解のある投資家であり「企業は株主を積極的に選ぶべき」と強調した。それには、しっかりしたガバナンスの確立が大前提で、取締役会議長とCEOが分離されず、一定数の独立社外取締役の選任が進まないなど、取締役会のガバナンスの仕組みが整っていない多くの日本企業の現状では「信用は得られない」と断じた。また、統合報告も、企業のイノベーション能力を求める長期投資家に向けたものにすべきと指摘。報告では、企業の土台となる企業哲学・文化から真剣に訴求する重要性に触れて「見やすくコンパクトにするより、長くてもファクトを押さえたほうが、ディテールを望む投資家には評価される」と語った。

ディスカッション
ESG・SDGs時代における「企業価値向上」と「イノベーション」の実践

最後に岸本編集長の司会で、企業のSDGs担当者が議論した。

東京海上ホールディングス
事業戦略部 CSR室 マネージャー
嶋田 浩生氏

東京海上の嶋田浩生氏は、同社のCSRについて「安全・安心、地球を守る、人を支えるをテーマに全社員参加型で推進し、収益にもつながればと考えている」と説明。産学連携の防災、顧客参加の植林、歩数に応じた還付金のある保険などを紹介。SDGsによって「グローバルに顧客、取引先と夢を共有できる。よい社会づくりへ皆さんと連携したい」と述べた。

三井物産
経営企画部業務室 次長
高堰 博英氏

三井物産の高堰博英氏は「欧米発でゲームチェンジが始まり、企業価値の基準が変わってきた」と述べ、サーモンの陸上養殖など持続可能な農林水産業に向けた自社の取り組みに言及。「社会にとっての意義と、会社にとっての意義の両立を長期の視点で目指すことが求められ、SDGsという世界共通言語を使い実現する」ことが、グローバルに事業展開するうえで重要という認識を示した。

ブリヂストン
経営企画部長
稲継 明宏氏

ブリヂストンの稲継明宏氏は、モビリティ、一人ひとりの生活、環境の各重点領域で、自社の強みを生かして社会課題解決に貢献する同社グローバルCSR体系を紹介。パンク後も一定距離を走行できるランフラットタイヤの価値を、ターゲット3・6の交通事故死傷者半減にリンクさせ「SDGsで、どの社会課題を解決するか、をわかりやすく説明できるようになった」と話した。

笹谷氏は「パートナーシップで目標達成を目指し、日本のよさを発揮しましょう」と呼びかけた。

会場ではエプソン販売の担当者によるPaper Lab(ペーパーラボ)のデモンストレーションが行われた。PaperLabは使用済みの紙から新たな紙を生み出す乾式オフィス製紙機。オフィス内での紙の循環を実現し、紙の購入から廃棄などを起因とする環境負荷を減らすことが可能であり、SDGsで掲げられている17の目標のうち、6項目の達成にも貢献する
PaperLabについてはepson.jp/paperlab/で。