
そんな通信制大学の特徴や最近の動向などについて、高等教育事情に詳しい大学通信の安田賢治常務取締役に話を聞いた。

大学通信 常務取締役 情報調査・編集部ゼネラルマネージャー
早稲田大学政治経済学部卒。大学通信入社以来、30年にわたり、教育界をリサーチしてきた。中学受験から大学受験までをカバーし、マスコミ向けなどに多彩な情報発信をしている
安田 昔は大学の数が限られていたこともあり、経済的な事情や通学が難しいなどさまざまな理由で、学ぶ意欲はあるものの学ぶ機会が得られないという人たちが少なくありませんでした。当初の大学通信教育は、主にそういった人々に対して大学教育を提供するという大きな役割を果たしてきました。
その後、通信制大学は、時代とともに短期大学や大学院まで設置を広げ、今や学部学科も法文系や教育学部、福祉系の学部から芸術学部まで幅広く提供しています。
学ぶ側の目的も、学位取得から教養の修得まで多岐にわたるようになりました。とくに最近は、介護業界の方が社会福祉士を目指すケースや、学校職員の方が教員免許をとるケースなど、社会人が業務やキャリアアップに必要な資格をとるために通信制大学を選ぶという傾向が見られます。
こうした多様なニーズを受け、大学は教育内容のラインナップや学生に対するサポート体制を拡充しており、新たに通信制に参入する大学もあります。「教育機会を広く提供する」という認可当時の大学の精神が、今も受け継がれていることがうかがえます。
時間と場所の制約を超える通信制大学
―― 通信制ならではの特徴や学ぶメリットは、どういったところにありますか。
安田 やはり昔も今も、通学せずにすむ点は大きなメリットでしょう。一定期間の面接授業(スクーリング)はありますが、基本的にはテキストで独習し、レポート提出をして単位修得試験を受けるというスタイルで、場所の制約を受けずに自分のペースで学べます。
しかも、それでいて大学教育がしっかりと受けられるし、卒業すれば学位も取得することができる。とくに最近は履修の自由度が広がり、時代に合わせた教養科目も増えているので、幅広い教養や応用力を身に付けることができるでしょう。
また、質の高い試験を受けられるのも大学ならではのメリットではないでしょうか。体系的かつ深い学びを提供している大学が作る試験だからこそ、習熟度がきちんと確認できます。
通学課程に比べると学費が安いので、何かを学んでみたいと思った時に挑戦しやすいのも大きな特徴でしょう。そのほか、図書館などの大学の施設も利用することができるので、活用次第でさまざまな恩恵を受けることができます。
学び続ける、その目的意識の再確認を
―― 近年では、インターネットの活用が進んだことで社会人にとって学びやすさが向上しました。課題提出や質疑応答を郵送からメールに変えるなどのほか、メディア授業を採用している大学も多い。単位修得試験までインターネットで行う大学もあります。
安田 おっしゃるとおり、ICTの発達により、通信教育のあり方もだいぶ進展しています。文部科学省の認可や、大学及び教員の方針にもよりますが、今後もインターネットを活用した学びはもっと広がり、多忙な社会人が学びやすい環境はより整っていくのではないかと思います。

―― ほかにも担任制を導入したり、学生同士の交流を支援したりするなど大学により環境整備には特色がありますが、通信制大学を選ぶ際、とくに重視したいポイントはありますか。
安田 学び続けるうえで大事なのは、目的意識。ここを明確にしたうえで大学の実績や教育内容をきちんと調べることをおすすめします。例えば、資格取得が目的であれば、その実績が参考になるでしょう。口コミも参考になるので、可能であれば通信制大学で学んだことがある人に話を聞けるといいですね。もし身近にいたら、是非いろいろと感想を聞いてみましょう。
また、ライフスタイルや時間的な制約がある方などは、ご自身がスケジュールを組みやすい体制かどうかという点もチェックする必要がありますね。通信制大学は、時間を有効に使えるメリットがある一方、その分マネジメント力が問われるので、入学前から計画性を持ってこうした点もしっかり確認しておきたいものです。