進化する通信制大学、そのトレンドを読む さまざまな学びを支援する仕組みが拡充

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文部科学省が発表した平成29年度の学校基本調査によれば、大学、短期大学、大学院の通信教育(正規の課程)で学ぶ人は約18万6000人にのぼる。教育内容や教育体制も進化しているようだ。
そんな通信制大学の特徴や最近の動向などについて、高等教育事情に詳しい大学通信の安田賢治常務取締役に話を聞いた。
安田 賢治(やすだ けんじ)
大学通信 常務取締役 情報調査・編集部ゼネラルマネージャー
早稲田大学政治経済学部卒。大学通信入社以来、30年にわたり、教育界をリサーチしてきた。中学受験から大学受験までをカバーし、マスコミ向けなどに多彩な情報発信をしている

安田 昔は大学の数が限られていたこともあり、経済的な事情や通学が難しいなどさまざまな理由で、学ぶ意欲はあるものの学ぶ機会が得られないという人たちが少なくありませんでした。当初の大学通信教育は、主にそういった人々に対して大学教育を提供するという大きな役割を果たしてきました。

その後、通信制大学は、時代とともに短期大学や大学院まで設置を広げ、今や学部学科も法文系や教育学部、福祉系の学部から芸術学部まで幅広く提供しています。

学ぶ側の目的も、学位取得から教養の修得まで多岐にわたるようになりました。とくに最近は、介護業界の方が社会福祉士を目指すケースや、学校職員の方が教員免許をとるケースなど、社会人が業務やキャリアアップに必要な資格をとるために通信制大学を選ぶという傾向が見られます。

こうした多様なニーズを受け、大学は教育内容のラインナップや学生に対するサポート体制を拡充しており、新たに通信制に参入する大学もあります。「教育機会を広く提供する」という認可当時の大学の精神が、今も受け継がれていることがうかがえます。

時間と場所の制約を超える通信制大学

―― 通信制ならではの特徴や学ぶメリットは、どういったところにありますか。

安田 やはり昔も今も、通学せずにすむ点は大きなメリットでしょう。一定期間の面接授業(スクーリング)はありますが、基本的にはテキストで独習し、レポート提出をして単位修得試験を受けるというスタイルで、場所の制約を受けずに自分のペースで学べます。

しかも、それでいて大学教育がしっかりと受けられるし、卒業すれば学位も取得することができる。とくに最近は履修の自由度が広がり、時代に合わせた教養科目も増えているので、幅広い教養や応用力を身に付けることができるでしょう。

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