とくしまビジネスマッチングデーin東京 徳島県企業誘致・UIJターンイベント
ICT関連企業による講演
AI Smart Robot Network
高度数学を駆使したAIシステムの導入・運用を行う東京大学発のベンチャー企業、アリスマーの大田佳宏氏は、同社技術の活用事例を紹介した。大田氏は徳島県出身。サテライト拠点を徳島大学にも置いていて、その技術は、国内大手企業や海外企業からも注目されている。同社は、高度AI技術を使った画像認識技術を持ち、高い認識精度を実現したOCR(光学的文字認識)は、大手金融機関の帳票電子化に採用された。また、スマートフォンで撮影した事故車両の破損箇所の画像から修理箇所の損害指数を算出するほか、車内に設置したスマホの映像から危険運転を抽出、保存する技術は安全運転指導に役立っている。さらに、3Dモデリング技術は、スマホで自身の全身を撮影した画像からの採寸も可能にした。これらの技術を応用したロボットは、微細な動きを正確に行う手術や、放射線が出る危険な環境下での薬の開発といった場面で活躍し始め、スマート工場への導入も視野に入れる。大田氏は「数学を、医療の発展や、交通事故削減など社会に役立てていきたい」と語った。
サテライトオフィス開設企業による講演
サテライトオフィスの課題
電子書籍卸業で東証一部に上場している、メディアドゥHDの藤田恭嗣氏は、出身地の徳島県の旧木頭村(現那賀町)で同社グループのサテライトオフィスのほか、徳島市内に地元企業との合弁会社を設立。徳島県と実証実験を行った音声自動文字起こしサービス「Smart書記」を提供する。現在は、木頭での「4‐PARK(フォー・パーク)」構想に注力。すでに18年10月、露天風呂、カフェレストランなどを整備し本格的なグランピングが楽しめる「CAMP PARK KITO」をオープンした。さらに、世界一のマンガ図書館を併設する「MANGA PARK KITO」、閉校した小学校を農泊施設に改修して農泊体験をする「YUZU PARK KITO」、山地酪農を取り入れた牧場を整備する「FARM PARK KITO」を計画し、「インバウンドの外国人客を呼び込めば、ビジネスとして勝算がある」と述べた。一方で、事業展開を通して感じた地方の課題として「経営人材がなかなか見当たらない」ことを挙げた藤田氏は「地元に根付いてくれる経営人材の誘致も必要」と指摘。若い人の雇用創出に伴って増える子どもたちのために財団を設立して「経営感覚を養う留学を支援したい」と語った。
トップセールス
徳島県の立地環境と地方創生に向けた取り組みについて
飯泉嘉門知事は、多彩な徳島県の魅力を紹介した。交通網は、陸海空ともに充実。特に空路は、東京や福岡便のほか、18年からはフルサービスキャリア、キャセイドラゴン航空の季節定期便も就航した。スポーツイベントも目白押しで、18年のウェイクボード世界選手権に続き、21年にはワールドマスターズゲームズ関西の競技が行われる。阿波おどりの通年化、09年からの累計来場者が100万人を突破したアニメ・ゲームのイベント「マチ★アソビ」などの文化発信も活発だ。県は地上デジタル放送移行に伴ってCATV普及を推進したことで、全国屈指の光ブロードバンド環境を整備。これを生かしてテレワーク体験施設や、都市部からサテライトオフィスに来た人の子どものために、転校手続きを簡素化、徳島の学校生活も体験できるデュアルスクールの試みなどで、働き方改革を後押しする。消費者庁の地方移転も視野に入れた消費者行政新未来創造オフィスが17年に県庁内に開設。IoT・AI技術を農・漁業やインフラ管理に応用して、第四次産業革命のリードにも取り組む。最近は、藍が注目されていることを受け、阿波藍とLEDの「2つのブルー」の魅力を国内外に発信。海外のインフルエンサーが集う東京の奥渋谷に、宿泊もできる交流・情報発信拠点「ターンテーブル」を設けるなどインバウンドの取り込みも図る。飯泉知事は「徳島の可能性を実感いただけると思います」と述べ、企業誘致に関する県独自の補助金や税の減免制度を説明。「今後の事業展開は、ぜひ徳島でお願いしたい」と語った。