欧州経済のけん引役・ドイツNRW州で見出す
日本医療機器産業のチャンス
NRWジャパン
医療分野の課題に挑む先進的な取り組み
ドイツは、医療分野で日本と同様の課題を抱えている。少子高齢化、医療費の上昇、限られた医療リソース……。その中で最良の成果を上げるためにNRW州では、病院を一つのシステムとして捉え、新たなITや医療技術の導入がどのような影響を及ぼすのか、ユーザーに受け入れられるのか、を事前に分析して、病院の経営改善に役立てる「ホスピタル・エンジニアリング・イニシアティブ」の取り組みも行われている。
企業や医師、看護師、大学や研究機関、州政府やEU、さらにコンピュータサイエンスや流通の専門家ら80以上のメンバーが参加。コーディネーター役を担うフラウンホーファー・ソフトウェア・システム工学研究所のゼバスチャン・マイネッケ氏は「関係者全員が集まって病院の課題を特定し、新たなソリューション開発に向けた議論を行うネットワークです」と説明する。議論の場となる同研究所インハウスセンターには、病院を再現したラボが設置され、新たなソリューションが院内の医療スタッフ、患者、職員らに与える影響をシミュレーションできる。マイネッケ氏は「イニシアティブ参加はオープンで、病院のソリューション作りをしたいという日本企業の参加も歓迎します」と話す。
既にNRW州では、X線画像診断装置の島津製作所や医用高解像度モニターのEIZO、CT、MRIの東芝や日立、メディカルシステムのオリンパスなどの日系医療機器メーカーも事業展開している。成長分野としての医療産業の未来を見据えた時、ドイツNRW州は有力な進出先候補となるだろう。