デジタル変革で日本企業が巻き返すためには 斬新な環境とデータ分析で新たな気づきを
KPMGジャパンも2018年7月、その一角にイノベーション促進拠点を開設した。同社が会計監査や税務、アドバイザリーサービスで培ってきた知見と最新のデジタル技術を融合させたサービスを提供し、日本企業がDX時代を生き抜くための支援をするのが狙いだ。
「KPMGイグニション東京」と名付けられたこの拠点は、デザインシンキングの手法などを用いてクライアントと議論するスペースの「イノベーションラボ」、大型の画面を使ってDXが実現した場合のイメージが体験できる「インサイトセンター」、DXに必要なテクノロジーを研究・開発する「テクノロジーセンター」の3つの施設で構成されている。
関連施設がニューヨークやロンドンなど、世界の主要都市23カ所にあり、グローバルと連携するとともに、日本の市場や日本企業のニーズに応じた支援を展開している。
「『KPMGイグニション東京』では、監査や税務、コンサルティングの専門家のほか、データサイエンティストやデータエンジニアなどのテクニカルなスキルを持った人材が机を並べています。さらにイノベーションやデジタルというキーワードの中で、国籍や性別に関係なく多くのタレントが集まってさまざまな分野で有効なソリューションをつくっていく、あるいはナレッジを共有しています」(秋元氏)
「KPMGイグニション東京」は、KPMGジャパン自身のDXの拠点でもあるという。
「来たるべきDX時代においても、日本企業のよき伴走者でありたいと考えています。そのためには、われわれ自身も改革する必要があるのです。そういった危機感を持ってわれわれ自身も『KPMGイグニション東京』を拠点にDXを進めています」
岐路に立たされた日本企業に寄り添える存在
前述したように、DXにおいて日本企業は欧米企業に後れを取ってはいるが、その立場を逆転させるチャンスはあると秋元氏は話す。
「第4次産業革命というのは、基本的にはデータがあれば、それぞれのお客様に合ったものをリアルタイムでカスタマイゼーションする。そういったものに対してどれだけコミットできるのか。それが起こってくるのはそれぞれの業界で5年後、10年後というタイムスパンなのかもしれませんが、そこをきちんと理解して行動する経営者が出てくると、日本企業はもっと元気になるでしょう。われわれは、『KPMGイグニション東京』をそのサポートをする場、クライアントと私たちの気づきを共有する場にしていきたいと考えています」
日本企業は今、岐路に立たされている。ビジネスのデジタル化に成功すれば、企業規模にかかわらず大きな利益を獲得できるチャンスであると同時に、デジタル化の波に乗り遅れると経営危機に陥る可能性すらあるのだ。厳しい経営環境の中、企業と共に悩み、苦しみ、考え、よりよい答えを出せるよう寄り添ってくれる存在がいるとしたら……。「KPMGイグニション東京」に行けば、そのような出会いがあるかもしれない。