富士通が組む「あの外資」は何がすごいか? もはや常識、IT版「手洗いうがい」の全貌

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企業が持つIT資産の構成は、年々複雑さを増している。富士通の須賀高明ネットワークサービス事業本部本部長は「多くの企業が、社内のITシステムと外部のクラウドサービスを併用しています。しかもクラウドサービスは、複数組み合わせて使うことも今や当たり前。このように多くのシステムが使われる環境下では、有事の際にも問題の原因を迅速に把握できません」と警鐘を鳴らす。

もちろん、企業内のIT資産を把握するソフトはすでに広く導入されている。ただし、その大半は旧来型の方式で、各端末から中央の管理サーバーに更新情報を送信するもの。回線に大きな負荷がかかり、リアルタイムで状況を可視化するのは困難だ。

「サイバー・ハイジーンで求められるのは、あくまでリアルタイムの情報。数日や数カ月単位の情報更新では、マルウエア侵入前の予防はおろか侵入後の状況把握にも使えず、被害が広がるリスクが高いのです」(須賀氏)。

一度感染してしまえば企業としての信頼を失う

ここで、Taniumの技術力が生きてくる。その最大の特長は、端末同士が通信して情報をリレーする「リニアチェーンアーキテクチャ」という特許技術だ。各端末が中央の管理サーバーへ情報を送る従来型システムと異なり、回線への負荷を軽減しながら効率的に情報収集することが可能になった。

「たとえばエンドポイントが5万クライアントある大企業なら、全端末の可視化だけでも最低数カ月かかるでしょう。Taniumを使えば、これらをリアルタイムに実現できます」と語るのは、日本法人であるタニウムの古市力代表執行役社長。

「最近はマルウエアの被害を見聞きした方から、事業継続のための”必須ツール”としてお問い合わせをいただくことが増えました」と胸を張る。

富士通が開発したダッシュボード画面

一度マルウエアに感染すると、ビジネスに悪影響をおよぼすだけではなく、セキュリティ対策がなされていない企業だとしてステークホルダーからの信頼を失いかねない。事態を収束させることはもちろん、外部に向けて一刻も早く「安全宣言」を出すことが重要だ。

そのためにも、全IT資産の可視化と脆弱性の修復を行いつつ、感染時には急速に影響を最小化、復旧させるためにつくられたサービスがTaniumなのである。

Hindawi氏も、富士通とのパートナーシップに大きなメリットを感じている。「海外と比べても、やはり日本市場は独特。存在感を出していくためには、顧客のニーズやIT環境の現状を理解しているパートナーがまず必要です。絶大なブランド力とネットワークを持つ富士通と組むことには、非常に大きな意義があると感じています」(Hindawi氏)。

ITは、もはやビジネスに不可欠なインフラ。年々高度化する技術を使いこなさずして、グローバルで勝ち残ることは難しい。一方で、セキュリティ対策をせずに業務拡大することも非常にハイリスクだ。経営者は限られた原資の中で、より効果的な投資をすることが求められている。