腰痛と集中力に悩む人に話題の坐骨イスとは 名門校や企業がこぞって導入
「プレゼンティーイズム ロス」という言葉をご存じだろうか。
これは”勤務中の健康状態の問題により業務効率が低下して発生する損失”のことで、企業の健康関連コストのなんと6割以上を占める 。(※Dee W. Edington and Wayne N. Burton<2003年>より)
これは「アブセンティーイズム ロス」(=病気や体調不良などによる欠勤・遅刻・早退で発生する損失)よりもずっと多い。肩こり、腰痛、頭痛などの痛みが作業効率の低下を引き起こし、会社に損失を与えているとすれば、その改善に早急に取り組む必要がある。痛みを防止することが業務効率を上げるカギになるというわけだ。
中でも深刻なのは腰痛。なぜなら……
厚生労働省の発表によると日本人のおよそ2800万人、つまり4人に1人が腰痛を抱えているという。まさに日本は「腰痛大国」!
では、なぜ日本人に腰痛持ちが多いのか?
われわれ日本人は、世界一座る時間が長く、平均で1日8時間以上、つまり1日の3分の1以上座っていることになる。これは米国人のほぼ2倍だそうだ。(※世界20カ国の成人を対象に、平日どれだけ座っているかを調査/Bauman et al, <2011年>より)
“座る”という行為がなぜ腰によくないのか?
実は、座っている時には立っている時の2倍もの負担が腰にかかっている。(※「姿勢の変化による椎間板内圧の変化」/ナッケムソン<1976年>より)全体重のうち頭や内臓などにより、かなりの重さを占める上半身の重みが、座るとすべて腰一点に集中するためだ。また、米・コロンビア大学医学部が行った調査では、長時間座る人は、そうでない人に比べ死亡リスクが2倍にもなるのだとか。(※米国人7985人の日常動作を平均4年間にわたり追跡した研究/コロンビア大学 キース・ディアス博士他, <2017年>より)
日本人の4人に1人が抱える腰の痛み。その原因が「座ること」にあるとすれば、「プレゼンティーイズム ロス」をなくし、業務効率をアップさせるにはどうすればよいのだろうか。最近、腰への負担を軽減させ、集中力の向上も期待できるというイスが注目されている。「アーユル チェアー」である。
このイスが誕生した背景には、日本人と欧米人が使う道具の違いがある。農耕民族の日本人は体の前側の筋肉が発達、猫背気味で肩は内側に入る。一方、狩猟民族の欧米人は体の後ろ側の筋肉が発達し、胸は開いた状態。骨格も体型も異なればおのずと道具の使い方も違ってくる。例えば、日本人はのこぎりを引いて切り、欧米人は押して切る。日本人はクワを引いて耕し、欧米人はスコップを押して掘るといった具合。イスも欧米で誕生した座る道具であり、欧米人に適したものなのだ。
アーユル チェアーの開発者でありトレイン代表取締役の長谷川康之氏は語る。
「生活様式の欧米化が進み、畳の生活からイスに座る生活に変化して姿勢が崩れて行ったわれわれ日本人。その原因は、欧米人用に作られているイスを日本人が使いこなせていないことにあります。かつて畳で生活していた日本人は正座やあぐらなどで、自然に『坐骨』で座っていた。昔の日本人の”良い姿勢”は、坐骨で座る生活から生まれていたのです」
「アーユル チェアー」がほかのイスと最も異なる点はこの「坐骨」で座るところにある。つまり日本人の身体特性を考慮したイスなのだ。
順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏ほか医師やカラダの専門家から、腰痛に悩む人に向けて推薦されている「アーユル チェアー」とはどんなイスなのだろうか。