日本に蔓延「給料日を待つ」文化の大間違い そろそろやめたい…毎月25日までの我慢
これは企業にとっても採用広告費や教育費、そして現場の手間と時間の大きな削減につながる。何しろ「一度導入した企業で、効果不満による解約はまだゼロ社」(尾崎氏)という事実が、効果の大きさを示している。
日払い、週払いによって、なぜ応募者数増加、定着率改善といった効果を上げられるのだろうか。背景には報酬に対する考え方の変化、働き方の多様化がある。また近年、特に若年層では金融資産を持たない、あるいは少ない割合が多く、中には毎月の資金繰りすら厳しいケースも見受けられる。報酬の受け取り方に対するニーズの変化に加え、こうした社会背景とキュリカのサービスがマッチした結果だろう。
「利用者の動向を見ていると月末、休日前、休日明けに引き出す人が多い。給与を『使いたいタイミングで受け取れる』ことが大きな魅力になっているようです」と尾崎氏は分析する。
だが、この仕組みに対して、人事やコンプライアンス部門に明るい人の中には疑念を持つ人もいるだろう。「労働基準法第24条『直接払いの原則』はクリアできているのだろうか?」と。
中間搾取を防ぐ目的で、同法では賃金の全額を「企業から労働者に、直接支払う」ことが原則とされている(直接払いの原則)。これを遵守するため、キュリカは資金移動業の認定・登録を受け、例外である口座振込ではなく原則の通貨払いにて給与支払いする仕組みを構築した。
「キュリカは、導入企業に代わって前払い金を“立て替える”のではなく、資金移動業の認定・登録のもと、顧客企業の依頼に応じて資金の移動を行う方法を採用することにより、貸金業法に抵触するリスクもなく、法律にもしっかり適合しています」と尾崎氏は胸を張る。
キュリカはすでに顧客の依頼に応じて資金の移動を行える体制を整備したうえ、「資金決済に関する法律」に定められている資金保全義務にのっとり銀行と履行保証金契約を締結して、各企業から預かった前払い資金の全額を保全している。
また、キュリカはサービス利用手数料を、利用金額ごとの「%」ではなく一律固定料金に設定していることで、利息制限法に抵触するリスクもなく安心して利用できる。
ここまで明確にコンプライアンスを守りながら、利便性の高いサービスを構築していることこそ、同社のいちばんの魅力といえよう。人材サービス会社をルーツに持つだけあって使い勝手もよく、労働者の勤怠データを取り込んで反映できる仕様を備えている。
キャッシュレス化社会に向け、追加サービスも開発
給与前払いサービスが人気を集める一方、キャッシュレス社会への移行は世界的に顕著になっている。遅れているとされる日本でも、厚生労働省がついにデジタルマネーによる給与支払いを解禁する方針を打ち出した。そんな中、キュリカはどんな構想をもっているのだろうか。
「今取り組んでいるのは、キュリカアプリを起点とした各種金融サービスのアップデートです。クーポンなどお得な機能を付加し、利用者にとっての付加価値をより高めていきます」と語る尾崎氏。さらに有力視しているのは外国人向けのニーズだという。
「外為法の規制により外国人労働者は、長期滞在ビザを持っていて、かつ日本での滞在期間が6カ月以上にならないと銀行口座をつくれません。彼らへの給与支払いにおいても、銀行口座を必要としないキュリカの利用は大きなメリットがあるのです。将来は海外送金まで一気通貫で行えるようにしたいと考えています」(尾崎氏)
フィンテックの発展、キャッシュレス化の進展、外国人労働者の受け入れ……。金融事情や労働環境は目まぐるしく変化し、ニーズも多様化の一途をたどる。「好きな時に好きな場所で給料を受け取りたい」ニーズにぴったり合致するキュリカは、これから企業が生き残る「武器」となっていくことだろう。