機器納入業者から発電事業者へ
拡大する総合商社の電力インフラビジネス
丸紅
IPP事業は、商社が出資者となって事業会社を設立する。銀行と融資契約、土地所有者と土地使用契約、建設会社と建設契約を結んで発電所を建設し、完成後の運営に向けて燃料会社とのガス供給契約、電気を引き取る地元電力会社との売電契約、発電所の保守運転会社との保守運転契約…と、数多くの契約を取りまとめる。特に、長期に安定した運転を行うには運転保守がカギとなる。丸紅では、日本の電力会社と連携し、運転保守人材の確保、育成にも深く関わっている。
丸紅のIPP資産の約3分の1を占める中近東、アフリカ市場を担当する丸紅海外電力プロジェクト第四部は、グローバルな工業事業の担い手として、発電や海水淡水化プラントを世界各国で建設、運営し、社会貢献を果たしてきた。世界中のステークホルダーとのWIN-WIN関係を構築することで、インフラ以外の部門でのビジネスチャンスにつながるからだ。特に、第四部が手掛ける地域では、日本が燃料を輸入している中東諸国との関係強化が期待できる。
だが、大型のインフラビジネスは国際競争が激しく、受注は容易ではない。一時は入札で連敗が続いたこともあったが、交渉やアイデアを出し、値段を下げることで挽回した。一番札を取った案件で、応札後に相手方政府が急に案件をキャンセルとしたこともあった。
こういった厳しいビジネスの現場で商社マンに求められるのは、プロジェクト・チームの中で自分の役割を見つけて仕事をしていく力、言うべきことをきちんと発言できる力だといえよう。