本当に強いのは「働きがい」のある組織 人の気持ちこそが競争力の源泉となる時代

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そのほか、さまざまな調査を実施しており、従業員のモチベーションや会社の文化の成熟度を数値化しています。こうしたモニタリングの仕組みを活用し、定量的に可視化することによって、次の施策の精度が上がるのです。

―― 多くの企業も「働きがい」のある会社にしたいと思っているにもかかわらず、なぜ実行できないのでしょうか。

三村 まずトップの意識が重要です。阻害要因の一つが「トップのコミットメント不足」です。トップの本気度と熱意は組織の隅々にまで伝わるもの。「働きがい」の取り組みに魂を吹き込むにはトップの覚悟が必要です。

もう一つは「アイデア不足」です。「モチベーション=ボーナスや福利厚生」程度の発想では持続的に「働きがい」を高めることができません。そして「実行力不足」も挙げられるでしょう。さまざまな施策の試行錯誤が欠かせません。逆に、この三つを乗り越えれば、大きな一歩を踏み出せます。

5年前に掲げたあるべき姿を実現

―― 三村さんはなぜ「働きがい」に注目するようになったのですか。

三村 私は29歳の時、外資系IT企業でまったく新しい事業を立ち上げる本部長を任されました。しかし当時は経営経験が一切なく、必死になってたくさんの経営書を読みあさりました。その結果、会社の制度やオペレーションは、ミッションやビジョンを軸に考えるべきだということが見えてきたのです。

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そこで従業員と事業の夢を共有したら、本当に皆が自発的に動き出した。そのとき初めてミッションやビジョンの威力を実感したのです。

コンカーにおいても、創業後間もない2013年に「5年後のビジョン」として「全世界のコンカーの中で米国に次ぐナンバー2の事業規模になる」「国内IT企業で最も『働きがい』のある企業になる」という二つの夢を掲げました。当時は、文字どおりの”夢”だったわけですが、ここから従業員と日々努力し続けた結果、この二つの”夢”は5年後に本当にかないました。ミッションやビジョンを共有し続けたからこそ、強い企業文化をつくり上げることができ、そして業績の急成長にもつながったのです。

―― 企業文化は自然発生的にできあがるのではなく、つくるものだと。

三村 私はこれまで会社の「働きがい」に関する施策をただ愚直に実行してきました。企業文化はできるものでなく、トップがつくるものです。それこそが経営戦略なのです。現在のリーダー層だけではなく、次世代のリーダーとなる若い人たちにも、そのことに気づいてほしい。この本から、そういう思いも感じていただければうれしいですね。

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