失敗と成功の実践知に学ぶ「経営管理」 CFOエグゼクティブフォーラム

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成長の地図を描き、道を照らす経理財務・管理部門の意識改革と人材育成の視点
先を見通せない「VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)」時代の経営管理のあり方を考える「CFOエグゼクティブフォーラム」が東京・千代田区で開かれた。オープニングあいさつで、主催の東洋経済新報社、田北浩章・常務取締役が「多くの上場企業を見てきたが、業績の優れない会社には、数字に『甘い』共通点がある」と述べ、数字に「『厳しいが優しい会社』であるために何をすべきか考えていただきたい」と語った。

主催:東洋経済新報社
協賛:キリバ・ジャパン、BOARD Japan
後援:一般社団法人日本CFO協会

課題認識
真のトレジャリーマネジメントとは
‐デジタル化が最も遅れている財務の在り方を考える‐

キリバ・ジャパン
代表取締役社長
小松 新太郎氏
キリバ・ジャパン
ディレクター
トレジャリーアドバイザリー
下村 真輝氏

トレジャリー・マネジメント(財務管理)・システム(TMS)を提供するキリバの小松新太郎氏は、財務部門の役割として、資金面の判断材料提供や、施策実行の資金準備などを挙げ、特に「財務・税務の視点から、事業ラインにアドバイスして施策検討の一員になることが重要」と述べた。また、日本企業は、会計管理システムに巨額投資するのに対し、法的義務のない財務管理はシステム化が遅れていると指摘した。同社の下村真輝氏は「多くの企業は前月末の残高しか把握しておらず、タイムリーな経営判断ができません」と述べ、会計システムや各銀行にマルチ接続できるTMSを活用し、グローバルにリアルタイムで資金を把握する意義を訴えた。同社のTMSは、キャッシュマネジメントのほか、財務リスク管理や内部統制強化機能もカバー。低コストで短期間に導入できるクラウド型のメリットを強調した。

特別講演I
経理財務部門のアクションによる全社経営改革の実践
‐グリーを救った経営管理の全貌

グリー
執行役員
経営管理本部長
水野 省三氏

大手電機メーカーからITベンチャーのグリーに転じた水野省三氏は、約5年前の入社時のグリーを「急成長に管理が追いついていない状況だった」と振り返った。まず、きめ細かな収支管理で経営を「見える化」。決算前に着地見通しを検討して事前に手を打つ「先読み経営」に取り組んだ。一方、データ一元化など、仕組みをシンプル化。支払いサイトルールの徹底や、投資判断の事前検討・回収モニタリングの徹底など、「資金重視の経営」を徹底して、盤石な財務体質を構築した。「経理財務は税金分野の事業責任者」と、税務戦略を立案して事業構造改革にも主体的に関与。資本市場との双方向コミュニケーションを増やし、経営に対する緊張感を醸成した。また、経理財務部門から幹部人材を子会社に送って現場経験を積ませ、人材育成に努めるとともに、管理の標準化・内部牽制強化も同時に実現した。「経理財務は、経営改善のアクションを起こす部門。目指す方向にフォーカスさせる役割が重要」と語った。

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