すかいらーくが人手を確保できる理由 全国約3000店舗の採用システム改革

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今回の全社的な「応募受付体制」の運用は、パーソルグループが担当している。パーソルホールディングスの土井侑翼氏は「コールセンターのオペレーターは、応募者の方にとっては『すかいらーくの人』です。オペレーター一人ひとりが、企業理念を理解し、丁寧に応対できるよう教育・研修はもちろんですが、宮崎にコールセンターを用意するなど体制づくりからしっかりと進めたことも成功の要因と考えています」と語る。

一般的に、新しい仕組みを導入する際には、現場での抵抗も起きるというが、今回の「応募受付体制」の運用ではそれはまったくなかったという。

パーソルホールディングス
グループ営業本部
ソリューション営業統括部
土井侑翼

「試験的にこのシステムを導入したところ、評判を聞きつけた他の店長から『うちにも導入してほしい』という声が非常に多かったんです。これらの要望に応えて、2018年6月にはほぼ全店となる全国約3000店舗に導入しました。スムーズに全店に導入でき、当社で働きたいという皆様に迅速に対応できるようになりました」(杉原氏)

この全社的な「応募受付体制」の運用により、面接までの日数は従来の7日から3~4日に短縮し、応募から面接までにつながる割合は約半数から約75%に向上。その結果、面接での採用率は約15%から約30%に上昇したという。

従業員一人ひとりを幸せにする職場づくりを目指す

一方で、新たな取り組みも始まっている。2018年3月には、すかいらーくグループで働きたいと考える子育て女性の疑問や不安を解消し、希望の条件で働ける店舗を紹介する「おしごとコンシェルジュ」サービスの運用も開始した。Web上で自分の希望する条件を入力すると、それを基に応募受付センターのスタッフ(コンシェルジュ)が電話をして、直接応募者の相談に乗る。これまでもWebサイトにQ&Aを掲載していたが、「面接に子供を連れて行っていいですか」、「子供の運動会の日は休めますか」といった、ささいなことながら実際には聞きにくいことを聞けるのが大きな特長だ。不安を解消することができ、応募を促進することが期待される。

これらの取り組みの成果を受けて、杉原氏はパーソルグループについて次のように話す。「総合人材サービス企業としてのソリューションの多さが際立っているので、企画から運用まで採用関連のあらゆる相談にも応えてくれる安心感がありました。それに、ビジネスの話になると『今回の仕様ではここまでです』というようにドライな対応をされる会社さんもありましたが、 パーソルさんは伴走しながら、こちらのやりたいことを実現させようと粘り強く取り組んでくれました」。

土井氏も苦笑いしながらこう話す。

「ホットラインを設置して、もう何度も何度も打ち合わせをさせていただきましたし、一個一個トラブルをつぶしながらPDCAを回していきました。おかげで、当社としてもレベルアップできたと考えています。今回の取り組みは外食・小売・流通業などの企業様にとって好事例になりますし、今後一層厳しさを増す労働力不足の解消にも貢献していきたいです」

織部氏は「お客様はもとより、従業員一人ひとりを幸せにしたいというのが当グループの理念です。たとえば、シニアの方々にも当社で働いてもらいたいです。ほんの数時間でも、若いアルバイトやさまざまなお客様とコミュニケーションを取れる職場はとても魅力的だと思います。そのような形で従業員の幸せを増やしていきたいです」と話す。

採用プロセスを変革することが企業の競争力につながり、結果的にそこで働く人の幸せにもつながる。そんな好循環がすかいらーくでは起きている。

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