ヤフーの広告売上10倍増の秘密とは? AIより「データ」が今後の勝ち組のカギ
しかも、競争優位性を保つことができるのはAIではなく「データ」にほかならないと言う。ディープラーニングの技術は一社単独で開発できるようなものではなく、大学などの機関と連携して開発が進むオープンソース的なテクノロジーだ。当然差別化はつきにくい。代わって競争力を左右するのは「ビッグデータの質と量」になる。こうしたことからヤフーは「データの会社」へと大転換を図ったというわけだ。
目指すは、AI×ビッグデータの「永久成長装置」の構築
たとえばヤフーには「検索」というビッグデータが蓄積されている。ここにAIを掛け合わせることで、サービス改善におけるデータドリブンの醍醐味として「永久成長装置」が目指せると言う。ユーザーに利用されることでデータが蓄積され、莫大なデータを分析することで“気づき”を生み、その気づきを活かしてサービスや商品を改善していくことが可能となるわけだ。頭脳にはAIが用いられるため、人間のように疲れを感じたり、休息をとることなく毎日の改善を積み上げ複利的な成長へとつなげられる。

実際、「永久成長装置」としてヤフーの現状持つビッグデータにAIを掛け合わせて活用したところ、「
さらにヤフーでは「消費者」「市場」「社会」といった三つの切り口で、ビッグデータとAIから生まれた「気づき」を広告やECといった一般的なデジタルマーケティングの領域以外にも新たな試みに挑戦中だ。
たとえば、消費者では検索量の時系列変化から育児ニーズを読み取り、哺乳瓶やベビーカー、出産内祝いといった短期間に代わるニーズに沿って適切な時期に商品のレコメンドを提供する。市場としては、検索データを活用した販売予測を実施し、プレスリリース後のプロモーションを無駄なく行える検証を実施中。社会の側面では、ルート案内アプリから読み取った行動ログを活用し、混雑緩和ルートなどを提示。お知らせを見て行動を変えた人は60%に上り、2020年に向けて混雑緩和などの解決手段としても期待されているようだ。
ヤフーが得意とするデジタルマーケティングの範疇でも、今後新たな行動を起こそうと画策していると言う。100以上の提供サービス、月間アクティブユーザーID数4000万超、月間ページビュー数700億超、これら国内最大規模のデータとAIによる統合マーケティングの実践だ。
アクティブユーザーをIDで統合し、メディア接触から消費行動そしてオフラインからオンラインまで一気通貫で可視化を目指す。オフラインに関しては、モバイルペイメント事業への挑戦によりオフライン販促を可視化、今後マーケティングソリューションを提案していくと言う。
ヤフーの戦略でもわかるように、現在マーケティングの世界は大きく変化を遂げようとしている。時代の潮流を見誤らないためにも情報収集は必要不可欠だ。「アドテック東京2019」については、2019年11月27~28日に同じく東京国際フォーラムでの開催が決定している。また、2019年2月14日、15日には、福岡で「アドテック九州2019」(http://imediasummit.jp/direct-kyushu/)が開催される。今後のビジネスのためにも、ぜひチェックしたい。
■総来場者数:1万4160名
会 場:東京国際フォーラム 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5―1
カンファレンスプログラム:6キーノート、60カンファレンスセッション
adtech@comexposium-jp.com