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第3回
カロヤンはじめて物語

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有効成分の濃度でせめぎ合い

医療用医薬品としてフロジンが開発される一方で、一般用医薬品の商品開発も同時に進められていた。

有効成分「カルプロニウム塩化物」は、強力な血管拡張作用が持続するため、毛根に栄養を行き渡らせることができ、脱毛予防や育毛効果を発揮する。「この効果は、カルプロニウム塩化物の濃度が高いほど大きくなる一方で、局所の発汗など求めていない副次的な作用が出る頻度も高くなります。そのため、医師の指導の下で使用するわけではない一般用医薬品であるカロヤンの開発に際しては、常にカルプロニウム塩化物の濃度をどこに設定するかが論点になります。これまでのカロヤンの歩みを、カルプロニウム塩化物の濃度設定と切り離して説明することはできません」と開発氏。

「医療用医薬品」フロジンのカルプロニウム塩化物の濃度は5%。初代カロヤンとして、一般用医薬品を作る上では、カルプロニウム塩化物濃度を抑え、0.5%と1%の用量で検討する方針が立てられた。その際には、カルプロニウム塩化物を低濃度にしても有効性を担保できるよう、皮膚の代謝を促すパントテニールエチルエーテルや、頭皮の角質を柔らかくするサリチル酸などが加えられた。

そして、実際この用量で効果があるか、安全性が確保できるかを見極めるために、臨床試験が実施された。「臨床試験は、北海道から九州までの41の医療機関で、849人に対して行われました。当時、育毛剤でこれだけ大規模な臨床試験をしっかり行ったものはありませんでした」と開発氏は胸を張る。

結果、カルプロニウム塩化物0.5%の臨床試験での有効率は75%、副作用が出た人の割合は2.5%であり、重篤なものはなく、発赤等の軽度なものが大半であった。臨床試験で安全性と有効性が裏付けられたことを受け、73年カルプロニウム塩化物0.5%の商品「カロヤン」と、1%の商品「カロヤンハイ」が誕生したのである。

地道な研究開発で、しっかりとした商品を作ったという礎があるからこそ、その後カロヤンは飛躍的に売上げが伸び、40年たった今でも人々から愛されるロングラン商品となった。

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