今、システム建築への注目度が高まる理由 在来工法に代わりデファクトスタンダードへ
前年比30%以上の受注増新工場の建設にも着手
千葉県茂原市――。圏央道「茂原北IC」から車で約5分という好立地で、敷地面積11万平方メートルに延床面積3万平方メートルという巨大な工場の建設が始まっている。横河システム建築の新工場だ。
「おかげさまでシステム建築の需要が急速に伸びており、受注面積・シェアともに過去最高となっています。ニーズに応えるとともに、さらなる成長を図るために、新工場を建設することにしました」と、同社の大島輝彦社長は紹介する。
同社はシステム建築「yess建築(Yokogawa Engineered Structure System:イエス建築)」を開発・提供している。システム建築は、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することにより高品質な建物が短工期、低コストで建築できるのが大きな特長だ。
部材の標準化といっても、設計の自由度は高い。「yess建築」なら1ミリピッチで、建物の幅、長さ、高さなどを設定でき、要望に応じて天井クレーンの設置なども可能だ。最大60メートルものスパンに対応できるのも「yess建築」ならではだ。
大島氏が語るように、「yess建築」の実績が急成長している。同社の受注面積は2016年度の71万平方メートルから17年の92万平方メートルへと、1年間で30%以上も伸びた。全国鉄骨造の工場・倉庫・作業所の着工面積に対するシェアも、1年間で4.8%から5.8%へと上昇している。18年度はさらに、受注面積105万平方メートル、シェア6.3%を見込む。
「景気の回復感が広がる中、企業の設備投資が活発になっています。中でも、eコマース企業に代表される物流の変革や消費スタイルの変化などに伴い、工場や倉庫の需要が旺盛になっています。一方で、資材価格の高騰や建設業界の労働力不足の問題が深刻になっているうえ、来年は消費増税による駆け込み需要が見込まれ、短工期への要望も強まってくることから、『yess建築』への期待がますます高まっているものと確信しています」
「yess建築」は、部材の標準化だけではなく、営業の見積・積算、生産設計、工場での実際の生産まで、ワンストップで行えるシステムを構築しているのが大きな特長だ。特に、千葉県袖ヶ浦市にはシステム建築専用工場を有し、設計から鋼材の調達、加工、輸送までを一貫して行っているため、低コスト・短工期が可能になっている。