マケイン氏追悼の「半旗」が二転三転した事情 トランプ大統領の対応に対して批判の声

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米国在郷軍人会はフェイスブックに載せたトランプ大統領への書簡の中で、「著名な政府当局者が死亡した場合の伝統的な慣例に従う」ようホワイトハウスに求めていた。米国在郷軍人会はマケイン氏を「大切な一員」だとしている。

マケイン氏に関して浴びせられた数々の質問を一日中無視していたトランプ大統領は翌27日の夜、ホワイトハウスで開かれたキリスト教福音派の指導者の集まりで沈黙を破った。

「ジョン・マケイン上院議員の家族にお悔やみを申し上げる。マケイン議員が国のためにしてくれた全てに、われわれはとても感謝している」とトランプ大統領は語った。

連邦政府では同日、ほぼ終日混乱が見られた。米連邦議会議事堂や多くの国立公園では半旗が掲げられた一方、国防総省や連邦最高裁判所では国旗は通常通りに掲げられていた。

国土安全保障省は半旗掲揚するよう政府全体に通知したが、27日にそれを撤回し、各施設の職員に判断が委ねられることになったと、ある当局者は明かした。

「ショッキング」

米国大統領は通常、有力議員が死亡した際には議会の先導に従い、埋葬される日の日没まで半旗掲揚することを命じる。反トランプ支持者は、大統領の消極的な態度について、マケイン氏に対する最後の侮辱と捉えている。

「葬儀まで半旗掲揚を命じない大統領など、前例がないのではないか」と、カリフォルニア大学ワシントンセンターの歴史学教授、ジョン・ローレンス氏は指摘する。

「議会とホワイトハウスの政策の違いは明らかに目立っており、幾分ショッキングですらある」とローレンス教授は語った。

マケイン氏は生前、トランプ大統領をしばしば批判しており、大統領の葬儀への参列を同氏が望んでいなかったと遺族は明らかにしている。

遺族の代理人はマケイン氏によるお別れの言葉を発表。その中で同氏は、米国について次のように語っている。

「愛国心と対抗意識を混同するとき、われわれは自身の偉大さを弱めることになる。壁を壊すのではなくその後ろに隠れるとき、そして変化に必要な偉大な力であり続けてきた、われわれの理想の力を信頼せずに疑うときも、それを弱めることになる」

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