メルカリが挑む新事業「仕掛け人」の素顔 金融を「ゼロからつくる」醍醐味がここにある
そんな同社に共感した一人が、取締役・新規事業責任者の辻木勇二氏だ。銀行、国際機関、中央省庁、ソーシャルゲーム会社と、金融とITの業界で長いキャリアを持つ。
マネジメントにも携わってきたという辻木氏がメルペイに参画したのは、2018年3月のことだった。本人は「もう48歳ですよ」と屈託なく笑う。
そもそもメルペイを知るきっかけは、17年12月、当時代表取締役に就任したばかりの青柳氏と話したことだったという。
「ものすごい高速回転で経営判断を下して事業展開を図ってきた青柳さんが、『メルペイは情報がオープンで意思決定のスピード感がヤバい!』と言う。ゼロから金融事業を立ち上げる、メルカリの幹部も相当の覚悟を持って挑むという話を聞かされて、これは大きな可能性があると感じました」と打ち明ける。
刺激的な日々の中「伝統的な金融業界のノウハウと、どこまでもユーザーファーストを貫くベンチャー企業の文化が合わさって、金融という文脈で新しい未来をつくっていく。セキュリティ一つとっても、最高水準の堅牢さと使い勝手を両立する解を追求しています」(辻木氏)。
さらに「金融の機能は『かりる、ためる、ふやす、そなえる』の四つに分けられますが、その一つひとつについて、毎日『いい金融って何だろう?』と議論を繰り返しています」という。
なお、現時点での答えは「自分の母親や子どもに勧められるかどうか」と言う。「知り合いではなく、『最も大切な誰か』に使ってほしいと思えるサービスこそ、いい金融なのだと信じています」(辻木氏)。
自らの市場価値を高める、ビッグジャンプの決断を!
しかし、ミッションやバリューへの共感を軸に持つとはいえ、伝統的な金融の世界にいたプロフェッショナルたちがスタートアップ企業の異文化に慣れ、なじんでいくことは簡単なことではないだろう。
そこでメルペイでは、各種研修を用意するほか、「オープンドア」や「ウェルカムランチ」といった、役員とのフラットなコミュニケーションを促進する支援策など、さまざまなオンボーディング(入社者の早期活躍を目的とした受け入れ、定着支援活動)の仕掛けを用意している。
「金融業界に身を置き、そもそも今まで転職など考えなかった方が大勢いらっしゃるはず。長きにわたって特定の業務に従事されてきた方も少なくないでしょう。そうした場で培ったノウハウや経験が、実は、別の場所に移動することによって大きな価値を生むチカラになることがあるのです」と青柳氏は語る。
辻木氏も「ご自身のキャリアを、少し『ずらす』ことが重要では。それだけでもずいぶんと幅が広がり、また人材としての市場価値が高まるでしょう。あとは思い切ってジャンプするだけ」と背中を押す。
同社では六本木ヒルズで行うミートアップのほか、大手町などに出向いてのミートアップ、社員の親しい方だけを招待するフェスを開催するなど、転職検討者や転職潜在層が社員と接するさまざまな機会を用意している。
ゼロから金融をつくる醍醐味を、あなたもメルペイで感じてみてはいかがだろうか。