メルカリが挑む新事業「仕掛け人」の素顔 金融を「ゼロからつくる」醍醐味がここにある
メルカリで、成長戦略の一翼を担う金融事業会社のメルペイ。「2017年11月の立ち上げから現在までで、従業員は200名ほどに増えています」と語るのは、同社代表取締役の青柳直樹氏だ。「メルペイはフィンテックというカテゴリーでは後発ですが、決済関連ビジネスから始まった波が、人材の流れを変え始めていると実感しています」と続ける。
「メルカリ」「フィンテック」の語で喚起されるのは、若手エンジニアのイメージだろう。だが実際、銀行、証券、保険といった金融やITはもとより、官公庁や法律事務所、監査法人と、これまで中途採用した社員のバックグラウンドは非常に多彩だ。
メルカリにとって金融はまるで新しい挑戦となる。だが、だからこそ、多くのプロフェッショナルの心を揺さぶり、彼らを引き寄せているのではないだろうか。
――きっと、これまでの金融とはまったく別の価値を生み出すに違いないと。
何より大事なのは「ミッションとバリューの共有」
メルカリのアプリダウンロード数は国内で7500万を超え、月間のアクティブユーザー数は約1075万人を数える。「このブランド力は、メルペイにとっても資産です。メルカリのお客さまに対して”出口”を用意すると説明すれば、事業モデルも理解されやすいのではないでしょうか」(青柳氏)。
メルペイが描く将来像は、モバイル決済だけではない。同社は「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションを掲げ、メルカリの「Go Bold(大胆にやろう)、All for One(すべては成功のために)、Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という企業文化を継承している。
青柳氏は「クラウドワークや副業の浸透など、いま働き方や収入の得方は多様化してきています。その中で、新しい時代のインフラとなるような金融サービスをゼロからつくっていきたいのです」と語る。
続けて、「当社が目指すサービスは、社会的な便益を明確に想像できますし、挑戦する意義がわかりやすい。しかしインフラの一つとして機能するためには、リスク管理やコンプライアンス、システムといった”守りを固める”体制も欠かせません。そうした分野をしっかりと担える『金融のプロ』がまだまだ必要なのです」(青柳氏)。
新たな金融のカタチをゼロからつくるとなると、さまざまな困難や軋轢も予想される。おいそれと結果を出せる事業ではないだろう。
青柳氏は「そこで大切なのがミッションとバリューの共有です」と語る。「採用では、ミッションとバリューへの理解度に何よりこだわってきました。おかげで社員は皆モチベーション高く働いていますし、社内の雰囲気もとてもいいです」と笑顔を見せる。