SAP HR Connect Tokyo 未来を切り開く人事
SAP講演
最新HR Techで実現する人事システムの未来
SAPジャパンの篠原加奈子・スペシャリストは、人材供給不足とミスマッチの悪化を指摘し、それらを解決する人材プラットフォームとして、同社のフルクラウドサービスSAP SuccessFactors の機能を紹介した。
同システムは、AIによる人材情報の予測分析を使い、人材選抜や育成計画の策定を支援、人の目だけでは見えなかった社員の可能性を引き出す。
また、採用では、多数の履歴書を読み込んで解析し、ポジションとのマッチングを行うことで適正な人材の取りこぼしを防ぐほか、ボットでの問い合わせ自動対応、給与計算自動化など人事業務を大幅に省力化する。
GDPR(EU一般データ保護規則)にも標準対応し、円滑なグローバル展開を支援。「今後も進化を続け、皆様の人事システム変革を支援したい」と話した。
特別講演3
住友商事の人事戦略
~多様な力を競争力の源泉に~
住友商事の降幡至功氏は、すべての産業が急激な変化にさらされていく中、変化を先取りし、新たな価値の創造に向けて挑戦していくために、住友商事として取り組む中期経営計画2020と、そのベースとなる経営基盤強化に向けた「人材戦略の高度化」について語った。
人材戦略の高度化では、「Diversity&Inclusion~多様な力を競争力の源泉に~」をコンセプトに各種施策を推進。その一環として、付加価値を生み出す働き方の進化と健康経営に取り組む。
「従来の枠(働く時間・場所・スタイル)にとらわれない自律的かつ柔軟な働き方の実現や、人生の充実と生産性の高い働き方を支える健康増進を通じて、高いパフォーマンスの発揮と自己価値のさらなる向上を実現していく」と述べた。
また、人材戦略の高度化を支えるシステム基盤としてSAP SuccessFactors の導入を決定。最新のテクノロジーを活用し、環境変化に柔軟に対応する人事プラットフォーム構築を目指す。将来はグローバルでのシステム連携も視野に「より経営に資する次世代人事として価値創造をしていきたい」と話した。
パネルディスカッション
人事リーダーが語るグローバル戦略への挑戦
最初に、味の素の髙倉千春氏が、個人の自律的成長、多様な人材による共創、働きがいと生産性を向上させる環境の実現を目指した「味の素のグローバル人事戦略」を紹介。
環境変化に機動的に対応する組織に向けて、キーポジションとその職務要件を定め、適切な人材を充てるフレームワークを構築するなど、タレントマネジメントを推進。今後は「国籍や性別だけではなく、一人ひとりの個の良さを尊重する多様性を構築していきたい」と述べた。
ルネサスの山並氏は、グローバル人事について「現地を巻き込み、互いに妥協しながら合意することで定着する」との考えを示した。
第一三共の古田氏は、日本人グローバルリーダー育成について「計画的育成が重要でシニア・中堅層のみならず、若手に経験を積ませる取り組みも始めた」と述べた。
住友商事の降幡氏は、働き方改革の一環として取り組むテレワークなどの新しい働き方においても「従来同様、上司と部下間の真剣勝負のコミュニケーションが大事」と話した。
最後に、SAPジャパンの南和気本部長は、各講演を通じて、事業ステージに応じた人事改革があり、組織をまとめる軸になる考えや、将来への危機感の重要性が示された、と総括。SAPジャパンは多くの顧客事例からのノウハウにより、「ITのみならず、人事戦略策定から支援し、効果につなげる」とイベントを締めくくった。