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シンガポールのイノベーションエコシステム Japan-Singapore Innovation Corridor

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  • セミナーレポート 制作:東洋経済企画広告制作チーム
デジタルディスラプションの脅威が迫る中、既存の日本企業に求められているイノベーション創出の舞台としてのシンガポールの魅力を探る「Japan-Singapore Innovation Corridor」が7月、東京・港区三田のアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京で開かれた。
アクセンチュアのプロフェッショナルと企業が革新的なアイデアを共創、具現化させる場として2018年1月にオープンした会場には、日系大手企業を中心に81社から、CXO・執行役員から経営企画部やグローバル推進部の部長以下、合計114名の参加者が集結。
カンファレンスでは、シンガポール経済開発庁(EDB)のビジョンや、先進企業による、シンガポールでのイノベーションエコシステム構築の成功事例に耳を傾けた。シンガポール政府が進めるイノベーションエコシステムに対する認識を深めることができ、参加者からは、「東南アジア全体におけるシンガポールの存在を見つめ直した」、などのコメントが寄せられるとともに、スタートアップ企業やグローバル企業の具体的な成功事例を知り、「シンガポールやASEANのスタートアップ企業との提携を検討したい」という声も聞かれた。

共催:アクセンチュア、シンガポール経済開発庁
協力:東洋経済新報社

オープニング

牧岡宏 氏 / アクセンチュア常務執行役員 戦略コンサルティング本部統括本部長

アクセンチュアの牧岡宏氏は、さまざまな業界で破壊的変革が起き、収益成長が難しくなっていることを指摘。「小手先にとどまらない、ビジネスモデルレベルでのイノベーションが求められています」と訴えた。シンガポールは、政府のコミットメント、エコシステム、優秀な人材がそろっており、イノベーションのテストベッドとして最適であると述べた。日本企業は、シンガポールを足掛かりとしながら、アジア、さらに日本、グローバルへとその成果を展開していくことができると強調。「日本へのリバースイノベーションも視野に、シンガポールをイノベーション創出の場として検討する価値が十分にあるでしょう」と語った。

キーノート
イノベーションに取り組む日本企業は
どのようにシンガポールを活用すべきか

リム・スウィニェン 氏 / シンガポール経済開発庁副次官 国際担当

シンガポール経済開発庁(EDB)のリム・スウィニェン氏は、スタートアップ企業人材の集積やデジタル化の進展、国際競争力など、イノベーション関連の指標ランキングを用いながら「シンガポールが世界トップクラスのイノベーション創出国になっている」と強調。その背景にある三つの要因を説明した。

一つ目は、官民の相互連携。シンガポール政府は、デジタル技術で社会を変革する「スマートネーション」の政策を掲げ、テクノロジーによる次世代型のインフラ、ビジネス構築を後押ししている。自動運転技術などを使った都市交通インフラ、ロボットやデジタル技術で生産性を向上させる次世代型製造業、デジタル技術を医療分野に応用するスマートヘルスなどの領域に、政府が事業機会、支援を提供。これに応じて、日本企業を含む海外企業も研究開発拠点を整備しており、官民のみならず、大企業と中小企業などの連携も数多く見られる。さらに、政府は、民間企業がインダストリー4.0対応の診断や導入を支援する「スマートインダストリー準備指標」も開発している。

二つ目は、有望なスタートアップ企業を続々と誕生させているエコシステムの充実だ。政府による実証実験環境整備のほか、スタートアップ企業それぞれの成長段階に対応したベンチャーキャピタル、起業を支援するインキュベーター、事業成長のための資金提供や助言をするアクセラレーターに加え、アジア全体をマーケティングし、開発したものを展開する環境もある。さらに、エコノミスト誌に”世界一密度の高い企業のエコシステム”と称された「ブロック71」など、スタートアップ向けオフィス街も整っており、さまざまな面でスタートアップ企業を支える。

三つ目が、世界的に不足しているデジタル人材の豊富さだ。政府が近年、7つの大学と5つの機関※1を通じて育成に取り組んできたこともあり、デジタル人材の供給力は世界2位※2に位置付けられている。スウィニェン氏は、最後に「シンガポールには、イノベーションを創出し、ビジネスを成功させる環境が整っていることをお伝えしたい。皆様がシンガポールで活躍されることを期待しています」と呼びかけた。

※1 In terms of the statement “we have collaborated with 7 universities and 5 polytechnics to develop talents” – this is based on the factual reporting of the number of universities and polytechnics in Singapore.

※2 Global Talent Competitiveness Index (GTCI) 2016 by business school, INSEAD.

ゲストスピーチ Innovation事例紹介
シンガポール・ASEANを起点とした
グローバルイノベーション

Barbara Guerpillon 氏 / Head of Unilever Foundry SEAA & LEVEL3

世界有数の消費財メーカーのユニリーバと、テクノロジーを持つ社外のスタートアップ企業とをつなぐ役割を担うユニリーバ・ファウンドリーのBarbara Guerpillon 氏は「ユニリーバが、これからもパイオニアであり続けるためのオープンイノベーション・プラットフォーム」と同ファウンドリーを定義、経営トップの強いサポートがあることにも言及した。

ユニリーバ・ファウンドリーは、スタートアップ企業からブリーフィング、プレゼンテーションを受け、資金を拠出してパイロット事業を実施。成功すれば、ユニリーバのパートナーとしてスケールアップの段階に進む。世界で150以上のパイロット事業が行われ、シンガポールでも、ラックス・ブランドがプロダクトレビューを収集するスタートアップ企業と協業、東南アジア市場向けの新製品開発に役立てている事例がある。シンガポールでの成功により、その取り組みがASEAN、さらにはグローバルへと展開されたケースもある。

ファウンドリーのオフィスがあるビルの3階には、協業スペース「レベル3」を開設。スタートアップ企業経営者は、ここで、スキルアップのコンサルティングや、メンタリングが受けられ、他社とのつながりも築くことができる。ユニリーバのようなグローバル企業も、スタートアップ企業と競争するのではなく、協働していくという新たな関係性の構築を始めている。「私たちは、このようにスタートアップ企業と一緒に仕事をする近接性が重要と考えています」と語った。

プレゼンテーション
シンガポール/ASEANのスタートアップエコシステム
参入にあたってのポイント

Zhifeng Koh 氏 / Accenture Ventures Open Innovation Lead - Singapore; Technology R&D Principal

大企業とスタートアップ企業の連携でオープンイノベーションの推進を支援するアクセンチュア・ベンチャーズのZhifeng Koh氏は「私たちが両者の架け橋になることで、スタートアップ企業は、テクノロジーやソリューション開発、大企業は豊富なリソースという、それぞれの強みを生かせると思います」と述べ、世界約20万社のスタートアップ企業をモニタリングしており、大企業に協業先候補をリストアップできることをアピールした。

投資家の間で重視されているスタートアップ企業の創業者のマインドセットや、創業期の成功と強い相関がある地元起業家同士の「ローカルネットワーク」の強さ、グローバル市場へのリーチの先行指標となる、海外起業家との「グローバルネットワーク」の強さについて、シリコンバレーなどの起業が盛んな都市の中でもシンガポールがいずれの項目でも世界的に高いスコアであることを示した。

また、スタートアップ企業との協業成功例に言及。スタートアップ企業のアプリを導入して、従業員エンゲージメントを高め、現場技術者の士気を向上させ、システムエラーを削減した鉄道会社などの具体例を示し、成功のポイントは「スタートアップ企業を知り、そこにいる人を知るネットワーク」「メンタリングを提供できるポジションにいること」などを挙げた。

クロージング

Alison Kennedy 氏 / Accenture Strategy, ASEAN Managing Director

アクセンチュアのAlison Kennedy氏は「日本には、イノベーションの豊富な実績があるが、今後は海外のイノベーションから学ぶことも大切」と提起。その候補地の一つにシンガポールを挙げた。特にアジアを中心としてさらにグローバルな飛躍を模索する日本企業にとってシンガポールが重要なカギになりうると述べた。また、会場のイノベーション・ハブ東京について「ここで、皆さんと、イノベーションの多様な事例を共有したい」と述べ、併せてシンガポールの同様のハブも訪問することで最新の事例に触れ、アイディエーションをするなど「さまざまなことを体感していただきたい」と語った。