シンガポールのイノベーションエコシステム Japan-Singapore Innovation Corridor
共催:アクセンチュア、シンガポール経済開発庁
協力:東洋経済新報社
オープニング
キーノート
イノベーションに取り組む日本企業は
どのようにシンガポールを活用すべきか
シンガポール経済開発庁(EDB)のリム・スウィニェン氏は、スタートアップ企業人材の集積やデジタル化の進展、国際競争力など、イノベーション関連の指標ランキングを用いながら「シンガポールが世界トップクラスのイノベーション創出国になっている」と強調。その背景にある三つの要因を説明した。
一つ目は、官民の相互連携。シンガポール政府は、デジタル技術で社会を変革する「スマートネーション」の政策を掲げ、テクノロジーによる次世代型のインフラ、ビジネス構築を後押ししている。自動運転技術などを使った都市交通インフラ、ロボットやデジタル技術で生産性を向上させる次世代型製造業、デジタル技術を医療分野に応用するスマートヘルスなどの領域に、政府が事業機会、支援を提供。これに応じて、日本企業を含む海外企業も研究開発拠点を整備しており、官民のみならず、大企業と中小企業などの連携も数多く見られる。さらに、政府は、民間企業がインダストリー4.0対応の診断や導入を支援する「スマートインダストリー準備指標」も開発している。
二つ目は、有望なスタートアップ企業を続々と誕生させているエコシステムの充実だ。政府による実証実験環境整備のほか、スタートアップ企業それぞれの成長段階に対応したベンチャーキャピタル、起業を支援するインキュベーター、事業成長のための資金提供や助言をするアクセラレーターに加え、アジア全体をマーケティングし、開発したものを展開する環境もある。さらに、エコノミスト誌に”世界一密度の高い企業のエコシステム”と称された「ブロック71」など、スタートアップ向けオフィス街も整っており、さまざまな面でスタートアップ企業を支える。
三つ目が、世界的に不足しているデジタル人材の豊富さだ。政府が近年、7つの大学と5つの機関※1を通じて育成に取り組んできたこともあり、デジタル人材の供給力は世界2位※2に位置付けられている。スウィニェン氏は、最後に「シンガポールには、イノベーションを創出し、ビジネスを成功させる環境が整っていることをお伝えしたい。皆様がシンガポールで活躍されることを期待しています」と呼びかけた。
※1 In terms of the statement “we have collaborated with 7 universities and 5 polytechnics to develop talents” – this is based on the factual reporting of the number of universities and polytechnics in Singapore.
※2 Global Talent Competitiveness Index (GTCI) 2016 by business school, INSEAD.