いいエアコンは「寝室でこそ使いたい」理由 ものすごい暑さでも、ぐっすり寝るには?


今年も熱帯夜が続く寝苦しい季節がやってきた。ダイキン工業が20~70代の男女1,300名を対象に2017 年に実施した「第23回現代人の空気感調査」によると、実に6割以上の人が「夏の夜に暑くてなかなか寝つけない」「暑くて夜中に途中で起きてしまう」と答えている。

寝室のエアコンの使い方をめぐってパートナーともめることが「よくある」「ときどきある」「たまにある」と回答した人は、55.0%にのぼった(ダイキン工業「第23回現代人の空気感調査」より)
睡眠不足が続くと、注意力や集中力が低下して日中のパフォーマンスが下がるばかりか、疲れが取れずに体調を崩してしまうことにもなりかねない。
体調不良を防ぐためにも、エアコンを活用して心地よく眠りにつきたいところだが、これが意外と難しい。たとえば家族と一緒に生活していると、自分の好みだけで温度設定を決められないこともあるだろう。
先述の「現代人の空気感調査」でも、睡眠時にエアコンの設定をめぐって夫婦でもめたり、けんかをしたことがあると回答した人は55%にのぼった。
快眠のポイントは、温度だけでなく「湿度」にも
「快適と感じる温度は個人差が大きく、一概には言えませんが、一般的に男性の方が女性より低い温度を快適と感じる傾向にあります」。そう解説するのは、奈良女子大学の久保博子教授だ。快眠には26~28度程度の温度環境が適切と言われるが、エアコンをそう設定しても、人によって、また住環境によって暑さや寒さの感じ方は異なる。
ではどうすれば、家族皆が朝までぐっすり眠ることができるのか。久保教授は「快眠には室温だけでなく、湿度や風も含めてトータルに考えましょう」とアドバイスする。

奈良女子大学 研究院
生活環境科学系教授 博士(学術)
まず「快適な睡眠を得るためには、睡眠直後に3時間ほど続く、深いノンレム睡眠が重要」(久保教授)。人は睡眠中、およそ80~120分の周期で深いノンレム睡眠と浅いノンレム睡眠、そしてレム睡眠を繰り返している。
とりわけ入眠直後は深いノンレム睡眠が長く持続し、明け方にはレム睡眠の割合が高くなるが、入眠直後のノンレム睡眠をしっかりとることができれば、朝まで上質な睡眠が続きやすいのだという。そして、このノンレム睡眠へ入っていくうえで重要なのが「体温」の変化だ。
久保教授によると「体温は一日のうち夕方に最も高くなり、夜を経て明け方にかけて徐々に下がっていきます。特に入眠時は深い眠りに入るため、手足を熱くしたり汗をかいて熱を放出し、体温を下げようとします。逆に明け方になると、体温の上昇とともに眠りが浅くなり、だんだん体が目覚めていきます」という。
この入眠時に室温が高いと、体温が下がりにくくなるため、深いノンレム睡眠に入りづらくなる。それに加え、夏場は「湿度」の高さも深い睡眠を妨げる原因だ。高温多湿の日本の夏は、室内の湿度が80%近くまで上がることも珍しくない。入眠直後の発汗量の多い時に高温かつ高湿度な環境だと、汗がなかなか乾かず、暑さと不快感で寝つきが悪くなってしまう。