チームで学び発表する経験が、成長を促す 農と食と地域を考える大学生のプレゼン大会

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大学生を対象として行われる農業、食、地域、JAなどに関する研究のプレゼン大会 「アグリカルチャーコンペティション」。写真は、初代最優秀チームとなった日本大学商学部秋川ゼミ野菜班のメンバー

大学生がチーム単位で日本の農業や食、地域について調査研究を行い、その成果を競うプレゼンテーション大会「アグリカルチャーコンペティション」が2018年11月25日、世田谷区の日本大学商学部で第2回目の開催を迎える。17年の第1回大会では、11チームが参加。実務、学術を問わず、多数の研究成果が発表された。プレゼン大会を立ち上げた日本大学商学部の川野克典教授は次のように語る。

川野克典 / 日本大学商学部教授

「豊かな時代に育った若者たちに顕著に見られる傾向なのですが、食料自給率の課題をはじめ、日本の農業や食の現状について関心が薄いことに大きな危機感を抱きました。そこで、農業や食について若者にもっと主体的に考える場をつくれないか。そうした狙いから、アグリカルチャーコンペティションの開催に至ったのです」

第1回大会では、大学生たちが文献研究やフィールドスタディ、アンケート調査、統計分析などを駆使しながら調査研究の成果を発表。最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞のチームを表彰した。

「最近の大学生は基本的に真面目なんですね。きちんとした目標を与えることで、一所懸命勉強するのです。コンペティションとした理由も、単なる発表会に終わらせるのではなく、研究内容や表現方法を競い合うことで参加した学生の成長を促したいからです」

初代最優秀賞チームの研究テーマは「野菜の旬」

昨年の第1回大会で「野菜の旬」をテーマに最優秀賞を受賞した日本大学商学部の秋川卓也ゼミナールの皆さんが参加の意義について語ってくれた。

まずリーダーである商業学科4年生の泉亜季さんが参加のきっかけについて語る。

「ゼミではもともと物流について研究していたのですが、その中で、食料の生産と、その輸送によって排出される二酸化炭素がどれくらい地球環境に負荷を与えるのかを測定するフードマイレージという考え方に興味を持ち、食料生産、とりわけ野菜の旬についての研究にのめり込んでいきました。そこでプレゼン大会の開催を知り、自分たちの研究成果が第三者にどれくらい評価されるのか、その実力を試してみたいと思い参加を決めたのです」

ゼミでの調査研究では、農家ほか、企業関係者、専門家も含めて約100名のインタビューを実施。同じく商業学科4年生の荒井聡太さんが、その苦労を語る。

「ネットで調べるよりも、自分たちの足で稼いだ情報のほうが、意義があると思い、情報収集には本当に力を入れました。とはいえ、つてもないので、連絡は全員で一からメールしたり、電話でアポ取りをしたりしました。苦労もありましたが、皆さん快く対応していただいたことは今でもとても感謝しています」

こうした研究の成果をプレゼン大会の場で発表するために仕上げるプロセスでも意義があったとメンバーは語る。

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