「なぜ中国は途上国支援の主役に躍り出たのか」 コロンビア大学地球研究所所長 ジェフリー・サックス

中国のチャイナ・デイリー紙は最近、ウォルフォウィッツ世界銀行総裁が同行の幹部に圧力をかけるためにどのように脅しをかけ、下品な振る舞いをしたかを詳細に書いた記事を第1面に掲載した。

 同総裁のスキャンダルが明らかになったのとちょうど同じ時期に、中国政府は上海で開かれたアフリカ開発銀行(AfDB)の理事会のホスト役を務めていた。これは現在の世界状況を示唆する象徴的な出来事である。すなわち世銀が腐敗と論争で身動きできなくなっているとき、中国は巧みに発展途上国における政治的な立場を強化していたのである。

 AfDBの理事会は、浦東という上海で最も注目される開発区で開かれた。浦東地区は、ほんの数年前まではほとんど利用されていない広大な地域であった。しかし、現在では急速な発展を遂げつつあり、高層ビルや高級ホテルが立ち並ぶ地区になっている。

 私は、AfDBの理事会で中国政府の高官とアフリカ諸国の政府高官の会合に参加する機会に恵まれた。中国政府の高官がアフリカの指導者に与えたアドバイスは極めて有効で、世銀のアドバイスよりもはるかに実際的であった。

 中国政府の高官は、民間主導の経済成長を実現する基礎として、農業とインフラに公共投資をすることが重要であると強調していた。1970年代の中国は現在のアフリカと同じように貧しい農業国家であった。中国が経済成長を実現させるカギとなったのは、農業生産性を向上させたことだ。農家は肥料や灌漑、収穫量の高い種子を必要としていた。それらを提供し、生産性を高めることが、中国経済のテイクオフ(離陸)のための政策の核であったのだ。

 それ以外に道路と電力に対する投資も必要である。道路と電力がなければ、経済の近代化を実現することはできない。農家は生産量を増やすことができるかもしれないが、道路がなければ農産物を消費地の都市に運ぶことはできない。中国政府の高官は、中国の村落に送電網と交通網を張り巡らせるためにいかに努力したかを強調していた。

 アフリカの指導者たちが最も高く評価したのは、「中国は農業、道路、発電、医療、教育の分野でアフリカ諸国を支援する十分な準備がある」という中国政府高官の発言であった。アフリカの指導者たちは、この言葉が内容のない自慢話でないことを十分に知っていた。中国はすでにアフリカの至る所で、基礎的なインフラ構築のために資金を提供する実績を積んでいるからである。

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