ツワ者20代男女が語る「大学時代の共通点」 彼らには、アツく語れる「夢」がある

拡大
縮小
奥田健さん
/16年度卒業生。現在は宮城県庁に勤務

同学部の特徴はそれだけではない。興味深いのは、問題解決型学習として取り入れられている「ゼミ対抗研究発表大会」だ。これは20年以上の伝統を持つ取り組みで、学生が自ら社会問題を見つけ、解決策を提示して競い合うというもの。

ゼミについて、奥田さんはこう語る。​「私はゼミのリーダーを務め、『東日本大震災からの復興』をテーマに据えました。研究以上に苦労したのは、メンバーの参加意識がばらばらだったこと。真剣に取り組んでもらうため、一人ひとりとしっかり対話してグループワークを組み立てる必要がある。他人を変えるには、まず自分から変わらなければならないということを学びました」

この経験は、宮城県での業務にも役立っているという。「現在担当している予算管理業務では、年上の方々を説得して全体調整を行う場面が多く、その際の振る舞いが重要になります。まずは自分の考えや思いを誠実に伝え、相手の考えがわからなければ、真摯に聞く。こうした社会人としての基本動作は、すべて大学時代の経験から学んだことです」

学外大会に挑んだ西浦ゼミのメンバー

これを基に多くのゼミが学外で開催される研究結果発表大会に進出しており、優秀な成績を修めることも多い。たとえば、2017年11月には、西浦昭雄ゼミが経済系分野の関東地区大会で最優秀賞を獲得。同ゼミは、年に1度開催されるその大会で、2年ぶり・通算5回目の最優秀賞受賞となった。

多数が難関企業に就職。ロールモデルは身近な先輩だ

こうした多角的な学習の成果は、学生の多くが国内外の大企業や外務省などの官公庁へ就職、または国内外の大学院へ進学を果たすという実績に表れている。経済学部の取り組みは、企業からも高く評価されているのだ。

矢富さんは、PwCを選んだ理由についてこう語る。「留学経験を通し、まずはビジネスの側面から社会課題を解決したいと考えました。とくにNPOの活動は、ビジネスの力を取り入れることでもっと活性化できるはずです。ビジネスとソーシャルをつなげる新たな仕組みをつくりたい。そう思って、今の会社に入ることに決めました」

画像を拡大
2017年度卒業生実績(全卒業生数254人中、創価大学経済学部調べ)。内定人数ではなく、最終的に「就職した人数」がこれである

一方奥田さんは、アメリカへの留学を契機に、出身地である宮城県で働くことを決意した。その際も、卒業生から直接話を聞く機会が大いに役立ったという。

「アメリカ留学をしたことにより、今まで気がつかなかった故郷・宮城の良さを実感しました。経験の幅が広がり、より大きな視野で自分の将来を見つめ直すことができたと思います。私にとって東日本大震災は忘れられない経験。震災からの復興を目指し、宮城のために働きたいと思うようになりました。

また先輩たちの存在も大きかったですね。世界的な大企業で活躍している先輩の体験談を聞く機会が設けられていたり、キャリアサポートスタッフの先輩方に進路相談に乗ってもらえたりします。それによって具体的な目標や将来進む道を見つけ、自分の可能性を広げられたと思います。ロールモデルが目の前にいる環境は、非常に刺激的ですね」

2人に、将来の目標を聞いてみた。

奥田さんは、愛する宮城県の復興が一番の目標だと言う。「復興の第一歩はやはり、県民の皆さんに、宮城に住んで良かったと思ってもらうこと。特に強みである観光業を盛り上げて、『あの震災から立ち直った』と世界に誇れる都市にしたい。宮城には、知られていない魅力がまだまだたくさんありますから、全国へ、そして世界へ、どんどんアピールしていきたいですね」

矢富さんは、会社のボランティア活動を通して、社会課題を解決していきたいと語る。「縁あって、福島県南相馬市にある教育NPOの支援に携わっています。自分の仕事が誰かに役立っていることを実感でき、非常にやりがいを感じるのです。今後もプロボノ(専門家が知識やスキルを生かし、ボランティアとして公共のために活動すること)を通して、実際の社会課題を解決していきたいです」

2人は学生時代を振り返ると、声をそろえて「大学に感謝している」と言う。

「先生たちも積極的に、学生の目標を実現するための後押しをしてくれます。創価大学経済学部は、留学生を含め、世界から来た多くの仲間と一緒に夢をかなえられる場所。ぜひ多くの学生に切磋琢磨してほしいです」(奥田さん)