50代社員が突如ぶち当たる「3つの壁」 35年の「人生後半戦」へ、何が必要か?
その大きな仕掛けは2つある。まずは、ポータルサイトの提供。ここでは、定年後の心構えや“先輩に聞きました”などの「情報提供」、リカレント(学び直し)や仲間づくりをサポートする「チャレンジ支援」の2軸で、「働く・学ぶ・創る・仲間をつくる」の4分野をベースとしたコンテンツを提供していく。
「その要諦は、自分自身の潜在力を引き出すことにあります。ああしなさい、こうしなさいとノウハウを教えるのではなく、潜在力の発見につながるようなヒントやチャンスを提供していきたい。また、誰でも気軽に“自走人生創出診断”ができるスマートフォン用アプリの無料提供も予定しています」
コミュニティサイトで、利用者が語れる・学べる場に
同サイト内では、Web上のトークルーム「50’sコミュニティ」を運営し、仲間づくりも促進。ファシリテーターを置いて、効果的な“語り場”運営を図っていく。語り合いの仲間から、自走人生のロールモデルを発掘することも可能だ。
もう1つの特徴は、企業向けに提供する「百年ライフプラン研修」だ。マネープラン、キャリアプラン、個人のリスクプランの3分野で、企業が50代社員を支援する橋渡しを担う。
「雇用延長や介護、相続問題など社会環境の変化に応じて、適切なライフプランを提供していきます。研修の場を通じて、50代同士で考えや思いを共有し、人生後半戦に活かしていただきたいです」
今後も、個人でも気軽に参加できる研修プログラム「50代からのキャリア羅針盤」を開発するなど、新たなサービスを提供していく方針だと得丸氏は語る。
「定年後白書の発刊や、老いた親の見守りサービス、企業単位のOB会向けサービスなど、研究所をハブとしてあらゆるニーズに応えていきたいと考えています。人生後半戦を明るく生きるためにも、会社人生からのテイクオフの準備として、ぜひ研究所を活用していただきたいですね」
ベストセラー『定年後』の著者、楠木新氏が語る
「50代に必要なのは主体性」
ベストセラー『定年後』に続き、近刊の『定年準備』も好評を博している楠木新氏。人生後半戦を自分らしく生きるため、50代ビジネスパーソンへこうアドバイスを送る。
「まずは健康に活動できる75歳頃までをめどに、自分に合った生き方、いわば『もう一人の自分』を探すことから始めましょう。ここで必要なのは主体性。定年後は、主体性を持って行動しなければ、人生の意味を見出すことが難しくなってくると思います」
他方、企業には何が必要か。「50代社員に対して、高い給与や役職を与えても、当然のようにモチベーションが上がるとは限りません。各社員が、どんな時にもっとも能力を発揮できるのか? そこに立ち戻って対応を検討していく時期に来ているのではないでしょうか」
「定年後研究所」ではアドバイザーの役割を担う楠木氏。同研究所について、こう期待を寄せる。
「多くの人は定年後、すぐに自らの立場を変えることはできません。一定の時間が必要になります。そのため50代から準備を始めて、ぜひ研究所を活用してほしい。私も、作詞家と作曲家が力を合わせて良い歌をつくるように、研究所とコラボレーションして皆さんのお役に立ちたいと思っています」