50代社員が突如ぶち当たる「3つの壁」 35年の「人生後半戦」へ、何が必要か?
「最近は人生100年時代と言われ、長い老後に不安を抱かせる風潮があります。しかし、長い老後自体が不安なのではなく、先が見えないことによって不安が生まれているのです。だからこそ、少しでも先を見通し、充実した人生後半戦を過ごせるようにサポートしていきたいと考えています」
そう語るのは、「定年後研究所」の所長を務める得丸英司氏だ。
今、50代ビジネスパーソンは勤務する会社で「3つの壁」に悩まされているという。「役職定年」「出向」「年齢を理由とする配置転換」だ。これらの壁によってモチベーションが低下してしまっている現状を、得丸氏は「50代シンドローム」と表現する。
「現在の仕事以上に、将来の明るいビジョンが見えないことに不安を感じ、やる気を失ってしまうのです。企業にとってもモチベーションが低下した社員を抱えることは大きな負担。これは本人にも企業にも、放置できない課題になってきています」
こうした課題をふまえ、得丸氏は「定年3.0」という考え方を提示する。
「定年が人生のゴールにほぼ等しかった“昭和の定年”を『定年1.0』とすれば、超高齢社会を迎え、年金支給開始年齢の引き上げや雇用延長などの変革が起きた“平成の定年”は『定年2.0』。前例がないことから不安が生まれ、『50代シンドローム』の元凶となっています。そして、2019年にスタートする“新元号の定年”はどうか。『生涯現役』が一般化し、個人の経験や能力を長く活かせる時代となるでしょう。われわれは、自らの価値の創生が活き活きとした人生を送る鍵になると考え、『定年3.0』と命名しました」
65歳で初めて直面する「自走人生」って?
やがて「定年3.0」を迎えるであろう今の50代に必要なのが、「会社人生から自走人生へ」という考え方だ。得丸氏いわく、「自走人生」とは「会社に頼る時期を脱し、自発的な考えをもって人生を歩むこと」。これをうまく生き抜くためには、50代からの準備が大切なのだという。
「これは、人生で初めて自立を迎えるという大きな環境変化です。しかし、実際に定年後に備えて準備している人は多くないのが現状。いずれ会社という頼れる存在から離れざるをえないことを、自覚できていない人が非常に多いのです。これでは環境変化に対応できません。
今後は企業も50代社員向けのキャリア研修を実施するなど、もっと50代の社員に寄り添うことで、人生後半戦の生き方をサポートしていくべきです」
人生後半戦を自分らしく活き活きと過ごすためにどう準備すべきか。50代の「次世代の伴走者」となるべく創設されたのが、「定年後研究所」だ。