大増税時代の賢い住宅選び
変動リスクを抑え将来を見越した資金計画が大切
―――住宅を購入するにあたって、どのような点に注意すべきでしょうか。
北野 消費税など目先の制度の変化にとらわれず、中長期的かつ広い視点
で考えるようにしたいものです。
たとえば市場や制度の動向です。増税については、消費税だけでなく、相続税についても基礎控除額が引き下げられ、増税になる見込みです。このことからアパート経営を検討している土地オーナーが増えています。アパートの新築件数が急増すれば、職人さんの単価も上がる可能性が大きくなります。円安の影響で建材価格の上昇もある中、自分が購入しようとする物件の建物価格も値上がりするかもしれません。
金利についても、政府や日銀が物価情報の目標を掲げていることから、近い将来には引き上げられることが考えられます。また土地の価格も底値感があり、今後は上昇することが考えられます。その一方、少子高齢化で全体の人口が減少していく傾向に変わりはなく、すべての不動産で価格が上がっていくわけではないでしょう。他マーケット同様、不動産市場も基本的には需要と供給の関係で価格が決まっていきます。
―――資金計画もますます重要になりそうです。
北野 そのとおりです。税制など、なかなか変化が読みづらい時代になっています。金利も急に上がる恐れもあります。こういった自身でコントロールすることが難しいものが変動するリスクをできだけ抑えることが資金計画においては重要です。
最近は晩婚化傾向にあり、子どもを持つ年齢が上昇しています。このような家庭では、住宅購入、教育費、老後の資金づくりなどの課題に同時に対応しなければならなくなります。
夫婦共稼ぎの家庭も多いでしょうが、子どもが生まれると、夫か妻、どちらかの収入が停滞することになります。2人の収入を合算してローンを組んでしまうと、いずれ返済が苦しくなります。リスクを抑えるためには、どちらかの収入は教育費と老後の資金にするつもり、というぐらいに考え、その範囲で返済できる住宅を購入するというのも、一つの方法です。
このようなことを考えると、正解は一つではないことがおわかりいただけると思います。将来にわたるリスクやさまざまな動向を考慮しながら、「わが家にとってふさわしい物件、ふさわしいタイミング」を家族で話し合い、判断することが大切です。