営業改革 筋肉質な営業組織の作り方 営業改革のビジネススクール Spring'18
実践編1
営業改革の進め方
新しい分野にチャレンジしていくための営業改革
NTTコミュニケーションズの菅原英宗氏は、新規開拓営業のために2011年に新設された第二営業本部の取り組み事例を紹介した。設立当初は手当たり次第の営業だったが、改革第1フェーズで、まずバックヤード業務を集約し、訪問件数を増やすことから着手。セールスフォースの営業支援ツールで、顧客情報等を共有、分析して効果的な営業戦術を立案するチームセリング体制の構築に取り組んだ。第2フェーズでは、アカウント・ベースド・マーケティングを導入。セミナーやオウンドメディア「Bizコンパス」を利用してリードを創出、内勤営業が育て、外勤営業に引き継ぐ仕組みを整え、設立から6年で営業成績を3倍に伸ばした。
現在の第3フェーズは、従来のBtoBに代わり、エンドユーザーの価値創造まで見据えたBtoBtoXの次世代営業スタイルへの改革を推進。そのために新たに必要になる事業企画、コンサル、事業化などのスキルを備えた人材育成は「従来の座学プログラムだけでは難しい」として、社内のスキルを持つメンバーを横断的に集めてセールス・イネーブルメントチームを設置。育成プログラム開発や、成功例を共有する会「シェアリング・サクセス」などを開催する。「『たまたまうまくいった』ではなく、再現性のあるスキルのエッセンスを抽出して伝えることがポイント」と強調した。
実践編2
ディスカッション
NTTコミュニケーションズ第二営業本部の4人が登壇
実践編2は、改革プロジェクトを推進したNTTコミュニケーションズ第二営業本部の4人が登壇。現場目線からポイントを話し合った。営業部門の吉田武彦氏は、改革は、トップの明確なメッセージと、営業活動を営業支援システムへ入力、見える化を徹底することが重要と強調。部内で「データを基に議論するカルチャーが生まれた」と述べた。デジタルマーケティング担当の大宅左恵氏は「営業担当の負担軽減になる」と分業のメリットを指摘。商談進捗をシステムで管理し、検討が長引く顧客は「営業からいったんインサイドセールスに引き取ることもできる」とした。
営業推進部門の澤井邦記氏は、イネーブルメントについて、ソリューション案件の成功例の契約プロセスをデータやインタビューで分析し、流れをノウハウにして共有。「働き方改革などにもつながる」と手応えを語った。営業・人材戦略担当の徳田泰幸氏は、「シェアリング・サクセス」は、商談の中身ではなく、顧客にどうアプローチしたか、「実際の行動にフォーカスすることで、参加者から好評を博している」として「営業の暗黙知を形式知にすることがポイント」と述べた。