時代を先駆け取り入れた商品開発視点とは? 環境配慮の取り組みが「安全」を生み出す

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安全靴でも同社の配慮がうかがえる。一般の革製安全靴は、重金属などが入ったなめし剤を使用していたため、廃棄後、焼却処理時に化学反応で有害な六価クロムを出すという問題があった。こうした問題をなくすため、同社では独自に開発したエコレザーを採用して、六価クロムを排出しない安全靴を作り出した。  

左上)VERDEXCELパンツ。伸縮プリーツを配置して屈折の動きなどをスムーズにする (左下)安全靴(右上)最優秀賞受賞のモニュメントと表彰楯(右下)ヘルメット、手袋などの商品一例

 

こうした素材以外にも制度的な面でも先進的なことを取り入れている。その一つがエコマークだ。エコマークの認証にも積極的に取り組み、1996年に初めて認定を取得。現在、エコマーク認定を取得している同社の商品は700アイテムを超える。

使用済みの商品を複数の都道府県にまたがって回収できる独自のリサイクルシステム「WIDEACS」も特長的といえる。

「ユニフォームやヘルメットは以前から回収・リサイクルするシステムがありました。お客様からはユニフォーム、ヘルメット以外の安全衛生保護具についても回収・リサイクルの要請がありました。そこで、当社は2年かけて環境省の広域認定を受け、全国で使用済み商品(ユニフォーム、ヘルメット、革製を除く安全靴・作業靴・長靴、革製を除く手袋、マスク、メガネ、安全帯)を回収できる体制を整えたのです」(久保氏)また、同社は環境への取り組みを社外にまで広げている。商品のプレゼンテーションなどを通じて環境に配慮することの重要性を訴求するのもそうした取り組みの一環と言えるし、エコマークの認定を取得したユニフォームや作業服にエコマークを象徴的に表示しているのも、一般のユーザーや消費者にエコマークをより知ってもらうのが目的だ。

今まで挙げた制度や仕組み以外にも同社ではその他いろいろな環境配慮の取り組みを行っているが、こうした社内外問わず全社を挙げて環境に取り組んでいる姿勢が今回評価され「エコマークアワード2017」で最優秀賞の受賞に至った。受賞について日本環境協会は「作業着や安全靴などの設計にいち早く環境配慮の視点を取り入れ、業界を牽引してきたことや消費者がエコマークを目にする機会を創出している点も評価した」と講評している。

環境配慮型商品は企業に選ばれる

こうした同社の環境への取り組みは、市場からも高く評価されている。今は多くの企業が、自社が使うものを選ぶ際に、環境配慮型かどうかを基準の一つにすることが多い。そのため性能やデザインに優れているうえに、なおかつ環境配慮型である同社の商品は、企業に選ばれるプライオリティが高いのだ。事実、ユニフォームを筆頭に同社の商品は近年、確実に売り上げを伸ばしている。また、「ミドリ安全.com」の販売サイトを通じてより消費者と近くなったこともこうした取り組みをより伝えられる要因になったことは確かだ。

環境への取り組みは、同社の商品価値のみならず、同社の企業価値そのものも結果的に上げたといえるだろう。