筑波大学ヒューマンバイオロジー学位プログラムの先進性 5年一貫制博士課程大学院コースに注目
生活費を含めた学資が支給される
給付型プログラム
さらに特筆すべきは、給付型プログラムであるということ。5年間にわたって、すべての学生に月額16万円(1年次は18万円)が給付される。そのほかに、海外研究室ローテーションや海外インターンシップといった留学に対しても、海外渡航支援として学費が支給されるという。学生が全力で学問に打ちこめる環境が整っているのだ。
授業はすべて英語で行われ、学生同士の会話もほぼ英語。学生の出身地も学習歴も実に多様だ。「中国、韓国、台湾、ベトナム、米国、チュニジア、モロッコ、トルコから高い向学心と熱意を持った学生が集まっています。日本人学生は、とても刺激を受けているのではないでしょうか。また、日本人学生を含め、出身学部もバラエティに富んでいます。医学のバックグラウンドがなくても問題はまったくありません」と渋谷教授。授業をのぞいてみると、学生たちはみな真剣に取り組んでいるが、リラックスした雰囲気で授業は進んでいく。実は、1年次はキャンパス内での寮生活が義務付けられている。生活のルールを決める、ちょっとしたイベントを開く、もちろん、講義内容に関する相談事など、日々、生活レベルでの国際コミュニケーションが視野を広げるとともに、刺激的な異文化交流が気づきのきっかけを与えているはずだ。
日本の大学院の新しい未来をひしひしと実感する。
VOICE
「大学では応用生物科学部に所属し、生体内の糖鎖を有機合成する研究をしていました。ここのプログラムは、研究はもちろんのこと、海外インターンシップや適正技術教育を通して自分の関心のあるテーマに取り組めることに大きな魅力を感じています。今は、分子シミュレーションを用いて、生体内の化学反応など、生体システムを解明することに関心があります」
「大学では分子生物学と遺伝学を研究していました。ハーバード大に留学したほか、MITでインターンシップを経験しましたが、ここのラボローテーションの仕組みはほかに類がなく、自分のキャリアを広げる上でとても有意義なシステムだと思います。教員も学生もみな一生懸命で、刺激を受けることが多く、環境は抜群です」