タマホーム、20年で急成長!の舞台裏 福岡の工務店を世界へ導いた「3つの目標」
第2は、1兆円企業になること。売り上げ至上主義ではありませんが、お客様に利益を還元する意味でも、やはり売り上げ目標は高く設定したいと考えています。第3が、業界No.1を実現すること。いつ達成できるかはわかりませんが、お客様も、そして当社社員も『タマホームは日本一だ』と胸を張って自慢できる企業にしたい。こうした思いを抱いています。
──近年は「地域限定」商品の売れ行きが好調ですが、商品開発の経緯は?
当然ですが、たとえば沖縄県では1月に花見ができますよね。九州から東京は3月末から4月頭、東北は4月の末、北海道では5月の頭ごろでしょうか。桜の開花ひとつとっても、これだけ地域差があります。地域によって気候や風土、さらには文化や考え方にも違いがあり、家づくりもそれぞれの地域に合わせた配慮が必要だと考えました。
おかげさまで当社は、北海道から沖縄まで全国に約250拠点を構えており、また社員の過半数は地元の人材を採用していることから、地域ごとの要望を緻密に拾い上げることができています。
こうして各地域のニーズを吸い上げて開発した「地域限定」商品は大きな反響をいただき、直近2年間で販売した注文住宅のうち、売り上げベースで2/3ほどを占めるまでに成長しました。しかし、もちろん100%のニーズを把握できているわけではありません。昨年評価されたものが今年もうまくいくとはかぎりませんから、市場調査や研究開発は怠らずに進めてまいります。
──人材開発の施策を教えてください。
一級建築士や宅地建物取引士といった資格取得を、積極的に推進しています。勉学に伴う勤務時間の調整も柔軟に配慮しています。資格は会社のものではなく、個人に付随するもの。「会社のためでもあるが、最終的には自分のためだから頑張りなさい」と伝えています。
──今後の展望についてお聞かせください。
当社は一戸建ての注文住宅が主軸ですが、マンション分譲や賃貸物件にはまだ伸びしろがあり、これから注力していきたい。将来的には、一戸建ての売り上げが全体の2~3割となるようなバランスを目指しています。またホテル事業も好調で、もっと拡大していきたいと思っています。
国内人口の減少をカバーするため、韓国や中国などアジアを中心に事業展開を進めており、ゆくゆくはアフリカにも進出したいと考えています。これまで何度も海外進出に挑戦し、壁にぶつかってきました。
やはり、日本的な考え方のまま海外へ出ていってもうまくいかない。たとえば、日本独自の文化である「手形取引」を一昨年に廃止するなど、世界でビジネスをしやすいよう工夫を積んでいます。一方、海外でも「地域密着」のやり方は変わりません。国ごと、地域ごとに異なる現地のニーズをよくつかみ、それに合った良い商品を提供していきたいと考えています。
お客様に、タマホームを選んで良かったと満足してもらいたい。そして、社員にもタマホームに勤めて良かったと誇りに思ってもらいたい。創業者としての望みは、そこに尽きます。