日本のEV充電インフラは世界トップレベル 充電スポット数も増やす必要がないほど十分

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「理由は簡単、石油を輸入したくないからです。石油の輸入が減ればそれだけ貿易収支が改善されます。最近は中国がさまざまな国策のもとにEVの普及に力を入れていますが、中国も石油の輸入国です。同じく石油を輸入に頼っている日本にとって参考になるのではないでしょうか」

最後の一つは、EVで通勤する社員と、彼らの職場との連携に対する優遇だ。「これは個人的に特に強く希望しています」と池谷氏。

「スマートハウスならぬスマート工場です。たとえば、1000人が働く工場があるとします。1000人がみなEVで通勤し、工場の屋根には太陽光発電パネルが設置されていて、天気の良い日は1000台の充電だけでなく、工場の設備を稼働させることができるとすれば、産業活動自体がゼロエミッションを達成することになります。そうした取り組みに対して税制などで優遇しましょう、ということです」

パリ協定で日本は2030年度のCO2排出量を、2013年度比で26%削減することを約束しているが、その達成のためには「再生可能エネルギーの導入と、EVの普及が不可欠」と、池谷氏は語る。

「再生可能エネルギーは発電量が天候に左右されること、つまり供給の安定化が課題です。そこで再生可能エネルギーで作った電気を蓄電池にため、必要な時に取り出して使えるようにすれば、電力供給の安定化が図れます。その点で、1000台のEVが毎日工場にやって来るということは、毎日1000台の蓄電池を利用できるのと同じこと。工場の屋根に設けた太陽光発電の電力供給の安定化が図りやすくなります」

EVを普及させつつ、化石燃料への依存も減らし、パリ協定の目標達成を後押しするというのが、池谷氏のアイデアだ。国内ではすでにEVが普及する環境も整っているだけに、荒唐無稽な話ではないのかもしれない。